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Flathority小話その15 最も手軽なエイジングレザー・プエブロを語りたい
いきなりですが質問です。
「あなたの最も好きなレザーを1つ思い浮かべてください。」
どんなレザーを思い浮かべましたか?
コードバンやカーフレザーなど人それぞれ好きなレザーは異なることかと思います。
レザーは牛革1つ深掘ってみても種類豊富で楽しいにもかかわらず、豚革やエキゾチック系など幅広さもあって飽きることがありません。
レザーを知っていくほどに知らないことが増えていくような感覚で、常に新鮮な気持ちを持たせてくれます。
そんな奥深いレザーを時には個人の趣味として、また時には仕事として接してきました。たくさんのレザーを見てきた私が本記事冒頭にある「最も好きなレザー」として挙げるのがプエブロ。
Flathoityでも人気の高級皮革であるプエブロは私の最も好きなレザーです。
実はレザーへ興味を持つきっかけの素材でもあり「色々見てきたけど結局1番はプエブロ」と思えるほど、私にとって原点であり1つのゴールとも言えます。
本日はざっくばらんに大好きなプエブロレザーについて語らせてください。
いつもの解説やアイテム比較は控えめなので、革へ熱心な方にしか響かない内容となるかもしれません。一緒に熱くなれる革好きな方はどうぞご覧ください。
プエブロレザーとは
早速プエブロの好きなところを語っていきたいのですが、情報を整理するためにもプエブロレザーがどのような素材なのかおさらいしましょう。
プエブロレザーとは、イタリアのバダラッシカルロ社が手掛ける牛革のこと。
プエブロレザーは植物性タンニンを用いた古典的な製法「バケッタ製法」を用いて作られます。
原皮には生後2年以上の雌牛のショルダー部分のみを使用し、化学薬品は一切使用されません。また、鞣し加工後には、脂をゆっくりと浸透させることで、油分をたっぷり含んだ革が完成します。
完成したレザーは、近代的でムラのない均一な革とは正反対の特徴を持ち、ロットごとに微妙に色差があったり動物由来の傷が残っていたりと個性豊か。
また、最終工程で革表面をヤスリで削ることによって和紙のようなザラザラとした質感を持ちます。
これが他のレザーと一線を画す表情となり、唯一無二の存在となるのです。
プエブロレザーの概要は分かりましたか?
伝統的で懐かしさを感じる質感ながら個性は強めの素材であることがご理解いただけたかと思います。
続いて、筆者の個人的なプエブロレザーの好きなところを語ってまいります。
プエブロレザーの好きなところ5選
話がとっ散らかっても支離滅裂になってしまうので5つのポイントに絞りました。
その5つがこちら。
・お手入れ不要
・独特の革らしい香り
・エイジングが驚異的
・カラーパレットが豊か
・カッチリすぎないカジュアルな雰囲気
それぞれ詳しく語っていきましょう。
お手入れ不要
個人的にかなり重要なポイントがこの「お手入れ不要」です。
不要とは言いましても完全にお手入れ要らずではありません。さずがに、水濡れさせてしまうと手入れが必要ではあるのですが、トラブルなく使う分にはお手入れがいらない革となっています。
お手入れするのって大変ですよね。「ブラッシングしてクリーム塗ってまたブラッシングして、、、」とその手間が楽しい部分でもあるのですが、日常的に使うのであればお手入れ回数は少ない方が好ましいといえます。
プエブロレザーは元からヤスリがけで表面に傷が入っているので、スムースレザーのように傷が目立つことはありません。傷隠しのメンテナンスが不要なんですよね。
また、オイルが十分に浸透しているので乾燥によるヒビ割れも起こりづらい素材です。現に4年間愛用している私物のFlathoityメガネケースは1度もお手入れをしていませんが、ヒビ割れは全くなし。
質感が良いのに手入れは楽という素材の特徴は、ズボラな私にはピッタリです。毎日持ち歩く物こそプエブロレザーだと重宝するだろうなといつも思います。
「ショーケースに格好良く並んでいてつい購入したけど直ぐに傷ついてみすぼらしくなってしまった」や「お手入れが大変で使わなくなった」が起こらないプエブロレザーは革初心者から上級者までおすすめです。
独特の革らしい香り
続いては匂いです。
プエブロレザーは良い匂いなんですよ。ほんとに。
前職のときなんて作業机の引き出しにプエブロレザーの兄弟皮革であるミネルバボックスの名刺入れを忍ばせて、定期的に嗅いでました。笑
ただし、匂いは個人個人で好みが大きく分かれるポイントなので「絶対におすすめだ」とは言えません。
革は同じ原皮である牛の皮を用いても製法によって全く匂いが異なるんですよね。毎日革に接する私でも「この革は苦手な匂いだ」と思うこともしばしばあるほど、革の匂いは千差万別なのです。
その中でもプエブロレザーは私の好みドンピシャリ。外角低めストレートです。実に「革といえばこれ!」と言いたくなる香りがします。
具体的な香りについては私の語彙力では伝えきることができません。プエブロレザーの匂いが気になる方はぜひ実際にアイテムに触れて嗅いでみてください。
Flathoityでは定期的にポップアップイベントを開催していますので、タイミングが合う会場でお試しください。
エイジングが驚異的
プエブロレザーを語る上で外せないポイントがエイジング。プエブロは本当にエイジング番長です。
変化の幅だけでいえば世界トップクラスと断言できます。
個人的にレザーって自分で育てるイメージがあるんですよね。己の性格や習慣がそのままレザーに反映される印象で、早くエイジングすることもあればゆっくり変化していく場合もある。そんな革が持つ、変化して自分仕様になる唯一無二性が気持ちを熱くさせるポイントだったりします。
プエブロレザーはエイジングが早いし劇的なので、エイジングを実感する瞬間が早々とやってきて、「変化の実感=達成感=快感」のような三拍子を感じさせます。
変化としては、ザラザラした質感から徐々に光沢のあるツルツルした質感へ変わっていきます。ヤスリがけで起きあがっていた表面の毛が徐々に寝ていき、中のオイルや手の脂が染み込むことでツヤを持つのです。
革の醍醐味の1つであるエイジングを楽しみたい方は必見の素材といえるでしょう。
カラーパレットが豊か
4つ目の特徴はカラーパレットの豊かさです。つまり「色数が多くて、1つ1つの色合いも良いよ」ということです。
プエブロレザーはイタリア産のレザーなのですが、イタリアって色彩感覚が日本人とは異なる気がしています。
日本よりも原色に近いカラーリングや発色豊かで彩度の高い色味を好む傾向があるのではないでしょうか。
洋服でも装飾性に富んだブランドが多く、イタリア発のドルチェ&ガッバーナやモスキーノはその最たる例です。
このように、色への強いこだわりを持つイタリアから生み出されるレザーは、国内産のレザーではお目にかかれない豊かな発色があります。
例えばこちらのランドペンシルケースをご覧ください。
ネイビーは緑ともブルーとも言えるような絶妙な中間色。ワインは赤レンガ倉庫を彷彿とさせる深い色味です。
Flathoityで取り扱うカラーリングは限らせていただいていますが、どれも素晴らしい発色となっています。もしかしたら今後のイベントで特別生産するかもしれないのでご期待からご要望までお待ちしております。
カッチリすぎないカジュアルな雰囲気
最後のポイントはカジュアルな雰囲気です。
このポイントは本当に主観たっぷりですがどうぞお聞きください。
個人的にキッチリカッチリ過ぎる端正なアイテムは、自分が出したい雰囲気と合わないんですよね。スムースレザーを使って角もピシッとした「いかにも高級」といったアイテムよりも、古臭さや優しい雰囲気に惹かれる傾向があります。
そんな私にはプエブロレザーが持つ質感はピッタリでした。プエブロレザーはザラザラとした和紙のような風合いやタンニン鞣し独特の温かみのある質感で、キッチリ目のデザインに落とし込んでもクール過ぎない雰囲気に仕上がるですよね。
逆にカジュアル過ぎるデザインにプエブロレザーを合わせると、少し安っぽい雰囲気になることもあります。なのでデザインと革の雰囲気の相性には注意が必要です。それでも、プエブロレザーが生み出す柔らかい雰囲気はやはり魅力的です。
おわり
本日は個人的に大好きなプエブロレザーの魅力をご紹介しました。
主観が強く反映された内容だったので共感できないポイントや読みづらい部分もあったかと思います。
このブログはブランド公式ということもあり、発信の中心は革の知識とブランドの情報です。なるべく客観的な内容を書こうと心がけていますが、最近の記事が少し堅苦しすぎるかなとも思っていました。
なので、たまには革オタクの筆者らしい、主観が強く反映されたブログも書いていこうと思います。
今回は筆者主観回の第一弾として最も好きなレザーであるプエブロをご紹介しました。5つに分けて魅力をご紹介しましたが共感や新しい発見に繋がれば幸いです。
本日は以上です。では、また!
プエブロを用いたアイテム
Land Pencil case (FP-514) ¥15,400(税込)
Land Glasses Case (FP-507) ¥13,530(税込)
Land Mini wallet (FP-511) ¥16,500(税込)
Land Long Round Zip (FP-515) ¥31,900(税込)