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【初心者向け解説】牛革の種類や特徴まとめ【好きな革が見つかる】
初心を振り返るって大切。
先日、友人から初心の大切さを思い返すような一言を言われました。
それが「筆者と話すことがなければ『シボ』って言葉を知らなかった」というもの。
革好きならば誰もが知る『シボ』という言葉。勝手ながら、誰もが知る当たり前の言葉だと思っていました。
『雨』『椅子』『家電』といった言葉を多くの人々が知っていて、日常の中で当然のように使っていますよね。それと同様に『シボ』という言葉も広く知られたものだと思っていたのです。
しかし、思い返してみると、革を好きになりはじめた頃には、今当たり前に使っている言葉の多くは知りませんでした。
当時の私と同様に、近ごろ革を好きになって、そこまで専門的な言葉を知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、今回はレザーの中でも代表的な牛革に注目して、種類の解説やそれぞれの特徴をご紹介します。
なるべく初心者でも分かるように専門的な表現を避けてご紹介してまいります。
それでは、いきましょう!
牛革はどのような項目で分類されるのか
牛革とはいっても様々な種類があり、その特徴は千差万別です。
では、そもそもとして種類を分ける項目にはどのようなものがあるのでしょうか。
本記事では4つの分け方をご紹介します。
その4つが以下の通りです。
- 表面の違い
鞣し方の違い
染め方の違い
牛の年齢や性別による違い
以降、それぞれの項目について詳しくご紹介します。
表面の違い
最も分かりやすい違いが表面の違いです。
つまりは、見た目で分類する方法になります。
必ず覚えてほしい表面の違いは6つ。
その6つがこちらです。
- ・シボ
・スムース
・スエード
・ヌバック
・型押し
・エナメル・ガラス
シボ
シボとは、革の表面が凹凸を有したものです。
一般的な牛革のイメージといえばコレかと思います。
シボは牛本来のシワを活用するため、部位によってシボが細かったり荒かったりします。
個体差も大きく、同じ製品であったとしても違う模様が生まれ、唯一無二の表情を楽しめる点が魅力です。
Flathorityのアイテムでは、フラボナトートなどがシボのあるレザーを採用しています。
FlaBonheu Tote (FB-103s) ¥50,600(税込)
シボは革を加工する際に、揉んだり薬品に浸けて収縮させることによって生み出されるのです。
ちなみに、薬品に浸けてシボを出した革はシュリンクレザーと別称されます。
また、後述する型押しと呼ばれる加工によって、人工的にシボを再現する場合もあります。
スムース
革の表面に凹凸がなくツルッとした革がスムースです。
上品な印象で高級感があります。一方、傷が目立ちやすいといったデメリットがあります。
Flathorityではフラボナペンケースがスムースレザーになります。
FlaBonheu Pencase 03 (FB-502) ¥26,400(税込)
スエード・ベロア
スエード・ベロアは革の表ではなく、内側(床)を使用した素材です。
毛羽立ちがある点が最大の特徴で、起毛感による光沢や手触りの良さが人気となっています。
ヌバック
ヌバックも起毛感のあるレザーです。
スエードとの違いは、スエードは革の内側を使用するのに対して、ヌバックは革の表を使用します。
これは表面をヤスリなどで削って繊維を毛羽立たせることで起毛感を生んでいるのです。
Flathorityではランドミニウォレットがヌバックレザーを使用しています。
Land Mini wallet (FP-511) ¥16,500(税込)
ヌバックレザーは使用していくうちに起毛した繊維が寝ていき、経年変化が大きい素材でもあります。経年変化好きの方にオススメです。
型押し
型押しは、革の表面に凹凸を押し付けることで跡をつけたものです。
上記の通り、シボの模様を表現したり、ワニ革などの他の生き物の模様を付けたりします。
エナメル・ガラス
エナメル・ガラスは革の表面にウレタンや塗料を塗布したものです。
傷のある革をキレイに見せたり、水や汚れに強くなったりします。
一方、表面のウレタンや塗料が劣化した際、白くひび割れたりすることがあります。経年変化を目的とする場合にはオススメが難しい素材です。
以上が表面の違いによる分類でした。
続いて、鞣し方の分類に移っていきましょう。
鞣し方の違い
そもそもとして、鞣しとはどのような作業なのでしょうか。
鞣しとは、皮を革へと変化させる作業を指します。
放置すると腐敗してしまう皮ですが、タンパク質を化学的に安定させることによって腐らないようにするのです。
鞣しがどのような作業か分かりましたか?
実は鞣し方自体の方法によっても革の特徴が変わってきます。
代表的な鞣し方が以下の3つです。
・タンニン鞣し
・クロム鞣し
・コンビ鞣し
詳しくみていきましょう。
タンニン鞣し
タンニン鞣しは、植物から採取したタンニンと呼ばれる液体に皮を浸して革へと変化させる手法です。
タンパク質が変質するのに時間がかかるため比較的高価な革に多い手法になります。
また、経年変化しやすいとされ、風合いを楽しみたい方々から好まれてきました。
Flathorityではランドメガネケースなどがタンニン鞣しのレザーです。美しい経年変化を楽しみたい方にオススメ致します。
Land Glasses Case (FP-507) ¥13,530(税込)
クロム鞣し
クロム鞣しは、先程のタンニン鞣しとは違い、鉱物のクロムを使用してタンパク質を変化させる手法です。
タンニン鞣しよりも鞣す期間が短くて済むため、量産に向いています。
そのため、車の内装やソファなどに多く使用されています。現在、流通している革の8割がこのクロム鞣しのレザーなんだとか。
クロム鞣しで加工した革はタンニン鞣しよりも水に強い傾向にあり、弾力性や耐熱性も加えやすいと言われています。つまり、クロム鞣しは機能性をより追加しやすい鞣し方なのです。
一方、金属アレルギーの方は浸透したクロムに反応して痒みを訴える場合があります。また、経年変化も緩やかです。
Flathorityのアイテムではコインブラシリーズがクロム鞣しになります。雨の日にもレザーを使いたい方にはオススメです。
Coimbra Tote(S) (CF-102) ¥46,200(税込)
コンビ鞣し
上記のタンニンとクロムで交互に鞣す手法がコンビ鞣しです。双方の特徴を併せ持ったレザーを作ることができます。
タンナー(鞣し業者)のさじ加減次第でタンニン要素が強かったりクロム要素が強かったりする点が特徴です。
耐水性を持ちつつも、クロム鞣し単体よりは経年変化も楽しめるなど、双方のメリットを受けることができます。
一方、どっちつかずな印象を受けることもあり、中途半端さを感じる場合もあります。
以上が鞣し方による違いです。
染め方の違い
続いて、染め方による違いをご紹介します。
町中を見てみると赤や黄色など様々な色へ染められたレザーアイテムを目にするのではないでしょうか。
それら革の染め方は主に3つほどあります。それが以下の3つです。
・無染色
・顔料
・染料
無染色
無染色は文字通り、後から色を入れない手法です。
主にタンニン鞣しの革で流通し、タンニン鞣し×無染色の革は一般的にヌメ革と呼ばれています。
顔料
革の表面を覆うように染める手法です。繊維まで色が浸透しないため、革の表面に一枚層を重ねるような染め方になります。
傷を隠せたり色移りが少ないといったメリットはあります。また、エイジングしにくいため、使いはじめの美しさを長く楽しみたい方にはオススメです。
一方、革本来の模様や風合いを覆い隠してしまうため、エイジングを楽しみたい方にはオススメしにくい染め方になります。
染料
染料は革の繊維まで色を浸透させる手法です。
革の表面を覆わないため動物由来の自然な風合いをお楽しみいただけます。
例えば、「タンニン鞣し×染料仕上げ」のプエブロレザーは、トラと呼ばれる首のシワが荒々しくも美しいです。また、エイジングも期待できる染め方になります。
一方、傷が付きやすいため使いはじめの美しさは持続しにくい染め方です。
Flathorityではエイジングを楽しめる素材でアイテムをリリースしているため、多くの製品が染料仕上げとなっています。
牛の年齢や性別による違い
最後に紹介するのが、牛の年齢や性別による違いです。
牛革は生まれてから屠殺するまでの年齢によって革の質感がかわってきます。そのため、年齢ごとに名前が変わるのです。
一般的に生まれてから屠殺されるまでの年齢が若いほどキメが細かく希少とされています。
今回は5つの分類に分けてみました。
■分類一覧
・ハラコ
・カーフ
・キップ
・ステアハイド
・カウハイド
ハラコ
ハラコは、メス牛のお腹の中で死んでしまったり、出生後すぐに死んでしまった子牛の革です。
革の面積が少ないため希少価値は高く、あまり出回らない素材となっています。
カーフ
カーフは生後6ヶ月未満に屠殺された子牛の革です。
流通する革の中では最上級の革とされていて、キメの細かさと傷の少なさが特徴となっています。
特に、生後3ヶ月以内の子牛の革は「ベビーカーフ」と呼ばれきめの細かさや柔らかさから最高級品として使用されます。
キップ
キップは生後6ヶ月以上、生後2年未満に屠殺された子牛や若い牛の革です。
適度なキメとカーフ以上の厚みを持っていることから高級感と加工性を兼ね備えた素材になります。
カバンや靴などに使用されることが多く、Flathorityのキャタピラーバッグにもキップレザーが使用されています。
caterpillar L (FF-201) ¥61,600(税込)
ステアハイド
ステアハイドは、生後3~6ヶ月の頃に去勢され、生後2年以上経過した後に屠殺されたオスの革です。
去勢することで肉質を安定させる効果があるそうなのです。それだけでなく、気性が穏やかになることによって傷を付けることが少なくなり、レザーとしてもメリットがあります。
ステアハイドは市場では最もよく出回っている革で、厚みが均等で加工しやすく、総合的に品質が優れているのが特徴です。
カウハイド
カウハイドは、出産経験をもつメス牛の革です。
ステアハイドと比較すると柔らかいのが特徴になります。こちらも牛革の代名詞的な存在で、広く取り扱われてきました。
カウハイドは、出産を経験した牛のため腹部の革など広範囲の革を大きく取れます。
一方、腹部は伸びやすいため、使い所を見極める必要があります。
まとめ
牛革を分類するにあたって、様々な言葉の意味を理解できましたか?
情報量が多いため、一度には理解できない部分もあるかもしれません。そんなときは、本記事を辞典のように活用いただければ幸いです。
牛革の分類には主に4つの手法がありましたね。
それぞれの分類が以下の通りだったかと思います。
■表面の違い
シボ
スムース
スエード
ヌバック
型押し
エナメル・ガラス
■鞣し方の違い
タンニン鞣し
クロム鞣し
コンビ鞣し
■染め方の違い
無染色
顔料
染料
■牛の年齢や性別による違い
ハラコ
カーフ
キップ
ステアハイド
カウハイド
実は他にも、牛の部位によっても質感が違ってきます。
しかし、部位の違いを初心者の方が知ったとしても、お買い物の参考にはならないと思ったので、今回は割愛させていただきました。
気になる方はぜひ調べてみてください。
本日の情報を元にご希望のレザーと出会えるきっかけとなれば幸いです。
例えば「私はキメの細かいシボのあるエイジングする革が好き」となれば「シボ×タンニン鞣し×染料×キップ以下」と条件が決まるわけです。
私の場合は「エイジングする風合いのある革が好き」なので「ヌバック×タンニン鞣し×染料」という条件がみえてきます。
Flathorityのプエブロレザーはまさに私の好みドンピシャリ!
皆様の条件はどの様になりましたか?
ぜひ、本日の情報を参考にしてみてください。
本日は以上です。では、また!
本記事に登場したアイテム
FlaBonheu Tote (FB-103s) ¥50,600(税込)
FlaBonheu Pencase 03 (FB-502) ¥26,400(税込)
Land Mini wallet (FP-511) ¥16,500(税込)
Land Glasses Case (FP-507) ¥13,530(税込)
Coimbra Tote(S) (CF-102) ¥46,200(税込)
caterpillar L (FF-201) ¥61,600(税込)