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革の歴史をザックリまとめてみた
レザーブランドFlathorityを運営する中で、当たり前過ぎて疑問にも持たないことがありました。
それが「革っていつから生まれたの?」といこうと。
皆様は考えてみたことがあるでしょうか。
私は、生まれたときから存在している革-レザー-という素材について、起源を深く考えることがありませんでした。
もちろん、革が好きで仕事にもしていますから特性や種類、手入れの方法の知識は一定あるかと思います。
ですが、起源や歴史に思いを馳せることはありませんでした。
一介の革好きとして、せっかく疑問を持てたこの機会を使って、革の歴史を勉強してみようと思います。
「そういえば革の歴史って知らないな」とハテナが浮かんだ方は一緒にチェックしていきましょう!
革の起源から18世紀ごろまで一気にご紹介
革の起源は200万年前の旧石器時代と言われており、とてつもなく長い歴史がありました。
簡単に調べただけでも膨大な情報があり、歴史の深さを考えさせられます。
とはいえ、それだけの情報は書ききれないのでギュギュッとまとめてご紹介。
大量に割愛していくのでどうぞお許しを。
冒頭でもお伝えしましたが、革の起源は200万年前の狩猟採集時代まで遡ります。
当時は更新世直後で現代よりも寒い時代です。現代よりも地球全体の平均気温が5~10度ほど低かったと考えています。
そんな寒い時代にもかかわらず、当然のこと、ヒートテックやダウンジャケットなどは存在しません。当時の人類は寒さを凌ぐための衣類や寝具などに皮革を利用したのです。
糸という発明もない時代ですから、布も全ては革や植物だったと思うと、皮革が非常に重宝されたことは言うまでもありません。
その後、紀元前4000年頃の文明開花の時代。エジプトやメソポタミアで皮を革にする鞣し技術が向上していきます。
これによって、装飾品や儀式の道具にも革が使用され始めました。
また、当時は紙が存在しない時代。羊の革で巻物などの書物が作られました。
その後は古代ギリシャや中世ヨーロッパなどで靴や家具、より凝った装飾品などにレザーは使われていきます。
特筆したい点は馬具としてのレザーです。
中世ではまだ自動車が登場していません。そのため、主な交通手段といえば馬車でした。
そのため、中世ヨーロッパでは馬術が重要なスキルであり、馬具も大変重宝されました。
今や世界No.1とも言われるラグジュアリーブランドのHERMESも馬具の製造業としてスタートしています。今日に繋がるブランドも歴史の一端にあるのです。
産業革命以降のレザーアイテム
産業革命以前のレザーの歴史は分かりましたか?
かなり端折ってご紹介しているので、より詳しく知りたい方は是非調べてみてください。
ここからは産業革命以降の歴史についても触れてみようと思います。
産業革命はレザーにとっても大きな転換の時代となりました。
大量生産の基盤が確立されたことによって、レザーがより広く使われるようになります。
その大量生産の基盤とは、金属を原料とした「クロム鞣し」の発明や大規模で機械化された工場の誕生です。
ホリデーバッグもクロム鞣し革
これによって、一般のファッションや日常生活にもよりレザーが浸透していきます。
また、産業革命によって影響を受けたのはレザーだけに留まりません。
自動車が誕生したのです。
先の時代を生きる人として皆様も知るところですが、自動車の台頭によって馬車は衰退。先程ご紹介したHERMESは馬具から鞄の製造へ転換していきます。(現在でもアトリエでは馬具も作っています)
ラグジュアリーブランドがなんでも作るハウスと呼ばれる体制は、産業革命が産んだとも言えそうですね。
そして、産業革命から台頭した大量生産、大量消費の体制は現在も続いています。
むしろ、皮革製造の多様性は増しており、大量生産によってより安価に手に入るレザーもあれば、Flathorityが取扱うコードバンなどに代表される高級レザーなど千差万別。用途も多岐に渡り、家具、自動車、日用品、バッグなどにレザーが使われています。
waterOil Cordovan Long Wallet (FM-701) ¥42,900(税込)
日本の革文化
日本の革も大変長い歴史を持ちます。
日本でも縄文時代には狩猟採集した動物の皮を衣類や履物に利用していたと考えられています。
飛鳥時代には渡来人によって革の加工技術が日本へ伝わり、なめしによる生産が始まったそうです。
戦国時代には甲冑や日本刀にもレザーが使われています。
特に日本刀はかっこいいですよね。当時も美的要素が重要視されていたそうで、刀の柄にはエイ革も用いられています。素直におしゃれ!
ちなみに、戦国時代などで使われた原皮は主に鹿なんだとか。
現代でこそ、レザーといえば牛革のイメージがありますが、日本人が牛革を食べるようになったのは江戸末期から明治以降です。
他にはアイヌではアザラシや鮭が皮革として使われました。これは漫画ゴールデンカムイでも描写されていますね。大変面白いのでこちらもぜひ。
産業革命以降は日本でも大量の皮革が生産されることになりました。
鞣しには大量の水が必要ですから、河川の多い地帯にタンナーが増えていきます。特に和歌山、兵庫、東京は日本の皮革三大産地と数えられます。
東京の中でも浅草は皮革製品のメッカ(聖地)。Flathorityとお付き合いのある多くの業者さんも浅草を中心に集まっています。
レザーの歴史は人類の歴史
レザーの歴史をザッと見てきましたがいががでしたか?
まだ、糸も紙もない時代、衣類や書物はレザーで作られていたんですね。
その後、書物は紙へ、衣類は布へなどと、レザーはその役割を様々な素材に取って代わられていきました。
産業革命以前のタンニン鞣しは非常に手間のかかる手法でしたから、高級品として装飾の役割を持っていったんですね。
改めてレザーの歴史と人類史は繋がっているんだと思わされます。エジプトなどの高度文明が発達する以前から人類はレザーと共に歩んできました。
レザーの視点を持って歴史を学びなおすのも面白いかもしれません。
また、今後のレザーはどのような変成を遂げるのでしょうか。
SDGsに代表される環境配慮は必要でしょうし、エコレザーも増えていきそうです。
Flathorityもレザーの歴史を紡ぐ者としてより良い製品を作って参ります。
本日は以上です。
では、また!