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勘違いしがちな「栃木レザーと姫路レザー」の違いとは
レザーの世界には多くの種類やブランドがありますが、日本国内にも有名なレザーがいくつか存在します。中でも「栃木レザー」と「姫路レザー」は、その名を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
しかし、これら2つの名称について、実際のところ勘違いされがちな点があります。一見すると「地名+レザー」と似た構成になってはいますが、この2つは全く別の意味合いを持つのです。
今回は、その違いを解説すると共に、代表的な革の街についてもご紹介いたします。
姫路レザーと栃木レザーの違い
まず、基本的な違いからお話ししましょう。姫路レザーと栃木レザー、どちらも高品質な革として知られていますが、その意味合いには大きな違いがあります。
姫路レザーは【総称】である
「姫路レザー」とは、兵庫県姫路市およびその周辺で生産される革製品全般を指す総称です。
姫路は日本最大級の革製造エリアで、数多くのタンナー(革を鞣す業者)が集積しています。この地域では、牛革や豚革、馬革など様々な種類の革が生産されており、タンナーごとに異なる技術や特徴を持つ革が作られています。
姫路とその近隣のたつの市は、古くから革の産地として知られ、その歴史はなんと平安時代にまで遡るんだとか。この地域での革づくりが盛んになった背景には、豊富な水資源や広い土地、温暖な気候、そして商業中心地に近い立地などが挙げられます。
現在、大小200件以上の工場が集積しており、日本の革生産量の約70%を兵庫県が占めているのです。
Flathorityの大人気比較であるディアキップレザーも兵庫県たつの市にて鞣されているレザーになります。
つまり、「姫路レザー」とまとめて語られることが多いものの、兵庫県から生み出されるレザーは正に多種多様です。タンニン鞣しからクロム鞣し、素材も多種多様なレザーが生産されており、姫路レザーという言葉に具体的な1つの皮革が当てはまるわけではありません。
「姫路レザー=総称」と覚えておきましょう!
栃木レザーは1社のみ
一方、「栃木レザー」とは、栃木レザー株式会社が生産する革製品を指します。
この会社は、栃木県に本社を構え、伝統的なピット槽を用いたベジタブルタンニン鞣しの技法を用いて高品質な革を製造してきました。
たった1社で総称である【姫路レザー】と同じレベルの認知度やブランド力を持つとは恐ろしいですね!
栃木レザーの革は、その堅牢さと深い色合いが特徴で、特に長く使うことで独特のエイジングを楽しむことができます。
栃木レザー最大の特徴はピット槽による時間をかけた鞣し方といえるでしょう。
上記にあるディアキップの製作動画では鞣す際に大きなドラムを用いていましたが、栃木レザーでは巨大なお風呂のようなピット槽を用いて鞣していきます。
ピット槽鞣しではレザーに対してゆっくりとタンニンを染み込ませていくことから、強い堅牢性や繊維がぎゅっと締まった状態で仕上げることが可能です。
ドラムよりも生産効率が圧倒的に下がってしまう手法ではあるものの、ピット槽鞣しでしか表現できない質感があり、それが栃木レザーを一大ブランドとして押し上げています。
以上、姫路レザーが地域全体を指す総称であるのに対して、栃木レザーは特定の企業によって生産される革製品のブランド名であるということです。この違いを理解しておくことは、レザー製品を選ぶ際に非常に重要です。
その他、代表的な革の街
「姫路レザー」と「栃木レザー」の違いはご理解いただけたでしょうか。
実は、日本には、姫路や栃木以外にも有名な革の街がいくつか存在します。
東京(墨田区、台東区): 浅草は古くから革製品の製造地として知られており、多くの革工房、材料などの専門店が軒を連ねています。タンナーよりも卸売や小売店が多い印象です。ここでは、職人の手による高品質な革製品が数多く生産されています。
墨田区は特にピッグスキンの生産が盛んで、国内生産量の約9割を占めます。
埼玉県(草加市): 浅草や隅田などの東京都内から、工場用地を獲得しやすい草加市内に拠点を求めて移転してきたのが始まりだそうで、「鞣し」「縫製」「仕上げ」と“原料の製造”から“製品の完成”まで一貫した業者が集まっているのが特徴です。
今では草加の三大地場産業の1つと言われています。
まとめ
「栃木レザー」と「姫路レザー」という名称には、それぞれ異なる意味があり、栃木レザーは1社が製造する皮革を指し、姫路レザーはその地域で生産されている皮革の総称でしたね。
また、地域名では語られていないものの、日本を代表する「革のまち」を2つご紹介しました。
意外かもしれませんが東京都や埼玉県などの首都圏が「革のまち」なんですね。
以上、言葉の意味の違いや産地を理解することで、より良いレザー製品を選ぶ手助けとなります。姫路レザーの多様性と栃木レザーのブランド力、そしてその他の革の街が持つ独自の魅力を知ることで、レザー選びが一層楽しくなるでしょう!
本日は以上です。
では、また!