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コードバンで色々実験してみた~その1~【水ぶくれ・クリーム塗布・防水スプレー】
Flathority定番アイテムの多くに採用しているコードバン。圧倒的な美しさからFlathorityでも大人気の皮革となっています。
昨年もペンケースやミニマムウォレットに採用して、新作アイテムとしてリリースしてきました!
コードバンは美しさの反面、「水に弱い」という情報を良く耳にします・・・
実際に濡らすとどうなるんですかね??
コードバンは希少かつ高価ですから、製品を実際に濡らして試してみることはなかなかできませんよね。しかし、Flathorityはファクトリーブランドですから、製作の都合で余ったコードバンの端切れがあります。そこで、コードバンを使って色々と実験してみました!
水を垂らしたり、クリームを塗布したりと、日常での使用シーンやケアの場面で起こりそうなことを色々とトライ。本日は実験結果をシェアしていこうと思います。
※本記事はケア方法を推奨するものではありません。コードバンに見られる反応をまとめただけの内容となります。コードバンにお手を加える際は、あくまでも自己責任でお願い致します。
そもそもコードバンとは
コードバンとは、農耕馬の臀部にある皮から削り出されたコードバン層を鞣して作られる革のことを指します。
一般的な牛革は銀面(革の表面)を使いますが、コードバンは皮の内部にある床面(革の裏側)を削り、高密度な層のみを使用して作られます。コードバンは繊維の密度が極めて高いため、伸びにくく型崩れしにくいという特徴があります。
コードバンについては過去記事で詳しく解説していますので、以下をご覧ください。
>コードバンの新作財布はもう確認されましたか?【2種類のコードバンを比較しました】
>シェルコードバンのお財布エイジングレポート【ネイビーカラー編】
水を垂らしてみた【結論:めちゃくちゃ水ぶくれしました】
それでは、本題に入っていきましょう。
今回は、Flathorityの2大コードバンであるホーウィン社製シェルコードバンとFlathorityオリジナル水染めオイルコードバンを使用しました。
コードバンへ水を垂らして5分間放置
水を拭ったあとにどのように変化したのか確認してみました。
乾燥するまで待ちました。
しっかりと水ぶくれができましたね。やはり水に弱いというのは本当なようです。
正確には「水を垂らすと元の綺麗な状態ではなくなる」という表現が正しいでしょうか。水をかけることで強度が極端に劣化することはありません。しかし、写真のように濡れた箇所が浮き上がってしまうため、美観が大きく損なわれます。
やはりコードバンは美しさが最大の魅力ですから、コードバンのアイテムを使用する際は天気や水気には要注意ですね。
水ぶくれをなくせないか色々やってみた
さて、コードバンが水に弱いということがわかりましたね。続いて、このコードバンにできた水ぶくれが直せないか試してみました。
角のないガラス瓶で押さえつける
コードバンの水ぶくれの原因は「寝かせていた繊維が立ち上がる」ことにあります。
コードバンとは、上記にもある通り、高密度な繊維の塊です。その繊維を寝かしつけることで独特な光沢を生みだしています。水ぶくれは、この繊維が水に触れたことで立ち上がって発生します。
立ち上がった繊維は寝かせれば良い
ということで、角のないガラス瓶で水ぶくれ部分を押さえつけてみました。
先ほど比べれば凹凸が減ったけれど、きちんと跡を確認することができます。
完全に元通りにすることは出来ませんでした。
全部濡らしてみた
続いては水ぶくれができたコードバンを全て水に付けて、陰干ししてみました。
水ぶくれが完全に分からなくなりました。すごい。
ただし、シェルコードバン特有の光沢感も失われてしまいました。元々、一部だけ繊維が立ち上がっていたところが、全て濡らすことで、全体の繊維が立ち上がったと考えられます。
この後にコードバンクリームでブラッシングしてみました。
多少光沢が戻ったでしょうか?
仮に水に濡れた場合はこの「全体を濡らす→陰干し→クリーム塗布」が最も復活する可能性がありそうです。※重ねてですが、この方法を推奨するのもではありません。
Flathorityが取り扱う3種のクリームを全部塗ってみた
続いての実験は「Flathorityが取り扱う全てのクリームを塗ってみる」です。
使用したクリームは以下の通り。
以上の3つのクリームをコードバンの左半分に薄く塗布して、5分後に余分なクリームを拭ってみました。
結果がこんな感じです。
写真からは伝わりづらいかもしれませんがそれぞれ変色が見られます。
それぞれに起こった変化をまとめました。
※主観に基づいています。
コードバンクリーム
- 色は少し濃くなる
- 艶感が増した
- 浸透はそこまでしていない
モイスチャークリーム
- 色が濃くなった
- 艶感は減少
- とても浸透した
コンディショニングクリーム
- 色は少し濃くなる
- 艶感が増した
- 上記2つの間くらいの浸透をしている
モイスチャークリームが最も浸透する結果となりました。コードバンクリームとコンディショニングクリームは似たような反応ですが、コンディショニングクリームの方がより浸透した印象です。
なぜこのような結果になるのでしょうか?
それはクリームの成分の違いによるのもです。モイスチャークリームは油性クリームで、残る二つはワックス成分の多い乳化性クリームになります。
シェルコードバンはオイル仕上げの皮革なので、油性クリームは相性が良く、素直に吸収されると考えられます。
残る二つのクリームはワックス成分が多いため、浸透というよりも表面を整える意味合いが強かったのではないでしょうか。
ただし、今回は大きな差にはなりませんでしたが、コンディショニングクリームをコードバンに使用するのはあまりオススメしません。なぜなら、コンディショニングクリームはコードバンクリームより水分量が多いからです。
コンディショニングクリームは水っぽいため、上記で解説した水ぶくれを発生させる可能性があります。ぜひご注意ください。
コードバンに防水スプレーをかけてみた
次に防水スプレーをかけて、その上から水を垂らして5分放置してみました。
5分後
防水スプレーをした方はほとんど水の浸透が見られませんでした。防水スプレー恐るべし。
しかし、正直に申し上げて、コードバンに防水スプレーをするのはオススメしにくいです。
理由は以下の通りです。
- 均等に吹き付けるのが難しい
- 光沢が損なわれる可能性がある
防水スプレーは揮発性が高いとはいえ、液体です。コードバンに防水スプレーを吹き付けた直後の写真をご覧ください。
全体へ吹きかけたけれどムラがあります。コードバンに含まれた油分が水分を弾いているのかわかりませんが、均等に吹き付けるのは難しいと感じました。これでは、色むらの原因になってしまいますね。
また、今回の実験では見られませんでしたが、光沢が無くなる場合もあるようです。一旦濡れてしまうわけですから、繊維が立ち上がって曇りの原因になるのは、十分に考えられますね。
今回の実験で、防水スプレーがきちんと効果を発揮するのは分かりました。しかし、リスクもあるということを十分ご理解ください。
もし防水スプレーを使いたいという方は、リスクを承知したうえで、まずは目立たない部分に吹き付けるなどの対応をしてみてくださいね。
なるべく濡らさないでブラッシングが最も無難
実験結果は以上です。いかがでしたか?
本日はコードバンを使って色々実験してみました。
なかなか面白い結果が得られましたね。
今回実験してみて思ったことは「99%の人はコードバンを濡らしてはならない」ということです。よっぽどコードバンに精通していない限り、コードバンを濡らしてから復元させるのは難しいと感じました。多くの方はコードバンをなるべく濡らさずに、定期的なブラッシングとかさつきが出た際のクリームメンテナンスが最も無難なケア方法といえます。
「コードバンは水に弱い」ということを改めて知っていただき、天気や水気を気にして、コードバンの美しさを楽しんでいただければ幸いです。
仮に濡らしてしまっても、手早く水気を取っていただき、長く使っていくことで目立たなくなっていきます。初めは辛いかとおもいますが、愛着を持って使い続けてみてください!
コードバンを使ったオススメアイテム
waterOil Cordovan Pencil case (FM-712)¥18,700(税込)
Shell Cordovan Round Wallet (FS-709)¥66,000(税込)
waterOil Cordovan Minimum Wallet (FM-710)¥35,200(税込)
本日は以上です。
では、またー!
2022/2/3追記
シェルコードバンの実験その2をUPしました。続きとしてご覧ください。