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イタリアンシュリンクレザーで色々実験してみた【水濡れ・引っ掻き】
2月にようやくリリースとなった新作トートバッグとポーチS、ポーチMはもう確認されましたか?
トートバッグはオールレザー仕様でありながら約700gという軽量ぶり。その軽さから身体への負担が少なく、肩掛けスタイルでも使いやすい仕様となっています。また、水や傷に強く、天候を気にせずメンテナンスフリーに使えるので日常の相棒として最適です。
そんな新作トートバッグを実現することできたのも、メインレザーであるイタリアはマストロット社のシュリンクレザーに因るところが大きいんです。
しかし、マストロット社と聞いてもあまり聞きなれない方も多いですよね。シュリンクレザーの特徴ももっと知りたいのではないでしょうか?
そこで、本日はマストロット社のシュリンクレザーに水をかけたり、引っ搔いたりして、その実を暴いていこうと思います!
この実験シリーズは以前にコードバンレザーでも実施していまして人気企画の一つ。コードバンの実験結果を知りたり方はこちらからご覧ください。
マストロット(Mastrotto)ってどんな会社?
マストロット社は1958年にイタリアで創業された老舗タンナーです。イタリア国内において最大規模のタンナーで、全世界に19もの工場を有し、従業員は世界中で2000人以上。年間売上は4億ユーロ(500億円以上)にもなるんだとか。これだけの生産力を誇るタンナーはそうそうありません。
取引先も一流企業が揃っていて、日本国内でも高い人気を誇る高級車のアウディにも皮革を供給しています。車内のシートやハンドルにマストロットの皮革が使われているんだそうです。
また、鞣し加工業界のトップランナーとして、環境面においても様々な施策を打ち出しています。
具体的には、少ない水で鞣しを行う手法の開発や自社浄水施設の設置、CO2排出量の厳しい規制などなど。これらの施策により、外部の認定機関であるLWG(レザーワーキンググループ)から最高ランクのゴールド認定を受けています。
Flathorityが採用したマストロット社のシュリンクレザーはどんな特徴がある?
新作トートバッグの紹介記事の中でシュリンクレザーの特徴については既に紹介済みなので、ざっとおさらいした後に、その特徴が正しいのか実際に検証してみましょう。
まだ紹介記事をご覧になっていない方は、先にトートバッグの紹介記事からご確認ください。
コインブラの特徴おさらい
・比較的傷や水気に強い
・柔らかく吸いつくような手触り
・エイジングは控えめで、徐々に自然な光沢が出てくる
紹介しているマストロット社のシュリンクレザーは「ステア」をクロム鞣し加工することで作られています。
ステアとは生後3~6ヶ月の間に去勢された後、2才を経過した雄牛のこと。カーフレザーなどの仔牛の革と比べて、ある程度厚みがあるため強度面で優れています。また、革全体で厚みが均一なので大きなパーツの裁断にも適しています。以上の利点からバッグなどの負荷のかかりやすく、1つ1つのパーツが大きい製品にはピッタリな素材です。
そんなクロム鞣し系のステアレザーが、新作のトートバッグに使われているマストロット社のイタリアンシュリンクです。
クロム鞣しの皮革であるため、ちょっとした水濡れであれば、濡れた直後に拭き取っていただくだけで綺麗にお使いいただけます。一方、クロム系の皮革らしく経年変化は控えめ。変化を早く楽しみたいという方には不向きなレザーです。徐々に光沢は増していくのですが、タンニン鞣し革と比べると緩やかに変化していきます。
続いて、実際に触れたときの質感について。質感は端的に表現すると「軽量でふっくら」になります。
タンニン系のオイルレザーとは異なり、油分の比率が少ないので非常に軽いんです。また、非常に柔らかく、銀浮き(床と銀面が剥離すること)も起こりづらいという特徴を有しています。
もちっとした触り心地は、今後のイベント等でお確かめください。
ようやく実験開始
前置きが長くなりましたが、ようやく実験開始です。今回の実験では上記の特徴おさらいの中にある「比較的傷や水気に強い」を検証していきます。
実験内容は以下の通りです。
- ・革を爪で引っ掻いて傷の状態を確認する
- ・革に水をかけて放置して、経過を観察する
購入したアイテムには絶対にできない仕打ちですよね。笑
今回はアイテム製作で残った半端革を使用します。
革を爪で引っ掻いて傷の状態を確認する
この角あたりをなるべく強い力で引っ掻いてみます。
少し毛羽立ったようになりました。
では、この状況から傷を目立たなくすることはできるのでしょうか。指の腹で擦って均してみました。
引っ掻いたことで毛羽立った繊維が寝ることで、上の写真のような状態になりました。
新作トートバッグに使用したイタリアンレザーは、本シュリンク仕上げなので、馴染ませると周りのシボに紛れてかなり目立たなくなります。実際に使用される環境では、故意に傷を付けるようなことはないでしょうから、生活する上で付くような小傷であれば、より目立たないんじゃないでしょうか。
革に水をかけて放置して、経過を観察する
続いて、水をかける実験です。
写真のように水滴を垂らして10分後、30分後でそれぞれどのような状態になるのか確認しました。
10分後に水滴を拭った直後の様子
どこが濡れていたいたのか全く分からないほどシミはありませんでした。水滴を垂らした部分に触れてみても濡れていた感触さえないほど。クロム鞣しのシュリンクレザーすごいですね。防水スプレー不要な耐水性です。
10分程度はなんのそのといった具合だったので、続いては、濡らしてから30分放置しました。
30分以上放置していたら、革の上に乗っていた水分がほとんどなくなっていました。さすがに浸透したのかと思いきや、どうも蒸発しただけの様子。10分放置した時と同様に、濡れていた箇所に触れてみても、浸透したような感触はありませんでした。
以上、実験結果からマストロット社の本シュリンクレザーは本当に傷と水分に強いことがわかりました!
なので、メンテナンスもとっても簡単です。メンテナンスは柔らかい布で乾拭きするだけ。オイルレザーではないため基本的にはオイルメンテナンスは不要です。どうしてもかさつきを感じるときだけオイルを薄く塗布してください。
まとめ
本日は3つの新作アイテムのメインレザーであるマストロット社のシュリンクレザーについて、特徴のご紹介と特徴が正しいのか実験を行いました。
本シュリンクレザーはまさしく、天候を気にせず使えてメンテナンスフリーな万能レザー。傷が付きにくいだけでなく、仮に傷が付いてもシュリンク加工によって悪目立ちを防ぎます。
エイジングこそタンニン鞣し系のレザーと比べて緩やかですが、一方、水気を気にせず使えるというのは嬉しいポイントですね。
1つのアイテムをどんな場面でも使いたいという方には、シーンを問わずお使いいただける本レザーを使用したアイテムがおすすめです。ぜひ、今回の実験を参考にしていみてください!
マストロット社のシュリンクレザーを使用したアイテム
Coimbra Tote (CF-102) ¥46,200(税込)
Coimbra Pouch (M) (CF-501) ¥9,900(税込)
Coimbra Key Pouch (S) (CF-502) ¥7,700(税込)