【注意点も。。。】ブライドルレザーってどんな革?特徴まとめました

ブライドルレザーは、革に少しでも精通した方であれば一度は耳にしたことがあるかもしれません。セドウィック社のブライドルレザーといえば最高クラスのレザーとして多くの方に愛されレザーですよね。

一方、意外と知られていない情報なのですが、ブライドルレザーは使い方を誤ると早々と劣化してしまうレザーでもあります。

 

そこで、本日はブライドルレザーの特徴まとめとして、セドウィック社のブライドルレザーを深掘り!

どのように使うと直ぐにダメになってしまうのか、長く使い続けるために気をつけるべきことをご紹介します。

それでは、いきましょう!


セドウィック社のブライドルレザーとは?

前回の記事でもご紹介しましたが、まずはブライドルレザーがどのような皮革なのか確認しましょう。

ブライドルレザーの「ブライドル」とは、馬の頭部に装着する「頭絡(とうらく)」と呼ばれる馬具を指します。

つまり、ブライドルレザーとは馬具用の革という意味なのです。

人間以上の力を持つ馬を操るための馬具には、それ相応の負荷が加わります。そんな強い力に耐えられるように開発されたブライドルレザーは非常に堅牢で、木の板のように硬い質感です。

この硬い質感を生み出す元となるのがグリースです。革表面に浮き出た特徴的な白い粉(=ブルーム)の元にもなっているグリースですが、じっくりと塗りこむことによって堅牢性と軽微な撥水性を持たせる機能を持っています。

このグリースは動物や植物の油、ロウなどによってブレンドされたセドウィック社のオリジナル。この唯一無二のグリースがブライドルレザー最大のミソと言えるのです。


Flathorityの人気皮革と何が違う?【シェルコードバンと比べてみました】

ブライドルレザーの概要は分かりましたか?

ここからは実際のブライドルレザーを見ていきましょう。ただ、ブライドルレザーだけを見ていても他の革との違いは感じられませんよね。なので、今回はFlathorityの人気皮革であるシェルコードバンと比較していきます。人気皮革の違いをじっくりとご覧ください。

左:シェルコードバン#グリーン 右:ブライドルレザー#グリーン

シェルコードバンとブライドルレザーの二つ折り財布を並べてみました。

光沢感が全く異なりますね。

そもそもシェルコードバンの原皮は馬の臀部、ブライドルレザーは成牛です。素材からなにから違うので質感も大きな違いが見られます。

シェルコードバンは不均一な染め方、強い光沢がありますが、ブライドルレザーは均一な染色と、表面を覆うブルームによる微光沢となっています。

左:シェルコードバン#ネイビー 右:ブライドルレザー#ネイビー

また、水濡れについても違いが見られました。シェルコードバンはちょっとした水濡れでも跡が残ってしまいますが、ブライドルレザーは短時間の水濡れであれば跡が残りにくいのです。

ブライドルレザーの端切れに水を垂らして30分放置してみました。

30分後に見てみると・・・

一切の跡がありません!

色味的にも跡が目立たなかったのかもしれませんが、これはすごいですね。「タンニンなめしレザーは水に弱い」が定説の中、ブライドルレザーは水濡れに多少耐性があるようです。
※ブライドルレザーがタンニンなめし製法で作られていることには変わりありませんので、基本的には水濡れを避けるよう対策しましょう。本記事は水濡れ耐性を保証するものではございません。

シェルコードバンとブライドルレザーでは、ぱっと見た印象が全く異なりますので好みに合ったレザーをお選びください。皆様はどちらのレザーがより好きですか?


ブライドルレザーのメリット・デメリット

さて、ここからはブライドルレザーのメリット・デメリットを見ていきましょう。

まずは、気になるデメリット編から。タイトル回収の部分でもあるので要チェックでご覧ください。

 

デメリット一覧

・屈曲への耐性は低め
・一度付いた傷やひび割れが目立つ

 

ブライドルレザーは板かと間違えるほど硬質なレザーです。その分堅牢ではあるのですが、硬い反面、強く曲げると折れて(割れて)しまうことがあります。

手前下のシワは強く谷折りしたものです。180度近く谷折りするとここまでチリチリとした割れが発生します

二つ折り財布など折り曲げるアイテムを作る際は、厚みを調整したり内側に他のレザーを配することで割れることを回避していますが、元のブライドルレザーは曲げに弱い性質を持っていることを知っておきましょう。

レザーは乾燥することで割れやすくなるので、屈強する部分は特にオイルメンテナンスを心がける必要があります。定期的なオイルメンテナンスをしてくださいね!

また、一度ひび割れを起こすと大変目立ちます。

セドウィック社の染色は革の表面のみを染める【丘染め】という技法です。そのため、ひび割れを起こすと内部にあるベージュ色の床が見えてきてしまいます。これがいかにも「傷んでいる」様に写ってしまうのです。

革の断面(コバ)を見ると床面がベージュっぽいのが分かります

 

なので、ブライドルレザーのアイテムは強く屈曲させないようにするか、ヒビ割れを起こさないようにメンテナンスすることが重要になります。

使い方に気をつけて長く愛用していただければ幸いです!

続いてメリット編になります。

ブライドルレザーにはデメリットを補って余りあるメリットがあります。

どのようなGOODポイントがあるのか見ていきましょう。

 

メリット一覧

・ブルームの様子がかっこいい
・艶を増す経年変化(エイジング)
・ハリの強い堅牢なスムースレザー
・濡れたあとすぐに拭えばシミになりにくい

 

ブライドルレザー最大のメリットは使い始めの美しさと、使っていく中での美しさを味わえる点にあります。

2度異なる美しさを楽しめることがら多くのファンを獲得してきました。

使い始めには重厚感漂うブルーム、ブルームが落ちるとツルッとしたスムースレザーが顔を出します。

ブライドルレザーはカッチリした表情を持っており、メンズ心を刺激されませんか?

この革製品の醍醐味を味わっている感覚こそブライドルレザー最大の魅力といえますね!


ブライドルレザーの経年変化(エイジング)はどんな感じ?

さて、ここからはブライドルレザーのエイジングをお見せしたのですが、残念ながら弊社にはブライドルレザーのエイジングサンプルがございません。

そこで、新品のブライドルレザーを擦ってみたり熱してみたりとエイジングサンプルらしきものを作ってみました。

あくまでも参考程度となります。実際のエイジングをご覧になりたい方は「セドウィック ブライドルレザー エイジング」などで調べてみると多くのレビューがでてくるので、お時間のある方は検索してみてください。

こちらがブライドルレザーを擦ってエイジングを促進させたものです。

ブルームが取れるとこのようにツルッとしたスムースレザーになっています。動物由来の表情も残りつつ、キレイなスムース感もあってバランスの優れた質感ですね。

ブライドルレザーは使い込むほどにこの艶が増していきます。エイジング好きの方にとっては最良のレザーの1つかもしれません!


ブライドルレザーのお手入れ方法

ブライドルレザーのエイジングについて、どのように変化していくのか分かりましたか?

ここからはブライドルレザーのお手入れ方法についてご紹介します。

使い始め

最初は何も手を加えず、ブルームの質感をお楽しみください。※ブルームが苦手な方は布で乾拭きして落としていただいても構いません。

基本的にはホコリがたまらない程度にブラッシングしていただくだけで問題なくお使いいただけます。

 

カサつきを感じたら

表面がカサカサしてきたらようやくクリームメンテナンスです。

屈折部からカサつきが始まることが多いので、状態確認する際は折り曲げが多い箇所をご覧ください。

クリームは皮革メンテナンス用であれば何を使っていただいても構いません。弊社からもモイスチャークリームを販売しております。浸透力の強いクリームなので、目立たない場所で試してからお使いください。

モイスチャークリームはオイル成分を主としており、ワックス成分の少ないクリームです。革表面を整えるというよりは保湿・浸透力に優れています。スムース革やシボ革に適したクリームです。

 

ブライドルレザーのお手入れ手順

1.馬毛ブラシでホコリを払うようにブラッシング
2.指にごく少量のモイスチャークリームを取り、お財布全体に薄く塗布する
3.このまま乾燥するまで放置
4.再び馬毛ブラシでお財布全体をブラッシングする

お手入れの手順は以下の記事で更に詳しく写真つきでご紹介しています。

詳細を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。


>年末年始はお家でゆったり革製品をメンテナンスしませんか?【誰でも出来る超簡単お手入れ方法をご紹介】


ブライドルレザーをもっと楽しもう

いかがでしたか?

本日はブライドルレザーについて詳しくみてきました。

ブライドルレザーの悪いところも良いところも知ることができたかと思います。

ブライドルレザーはブルームの重厚感、強いハリ・コシを持った堅牢な素材です。

多くのファンを抱える英国産レザーを体験してみてください!

それでは、また!