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【希少×希少】手仕事の馬蹄とシェルコードバン
当たり前のように商品一覧に並んでいる馬蹄コインケースですが、実は大変希少なアイテムなんです。
Flathorityでもあと数年しか販売できないかもしれまんせん。。。
Shell Cordovan BATEI Coin Cases (FS-708) ¥33,000(税込)
メインマテリアルであるシェルコードバンの希少性も革好きの方からしたら有名なお話。
しかし素材だけでなく、馬蹄という形状自体も大変希少性が高まっています。
作りと素材の希少性からFlathorityでもあと何年このアイテムを続けられるか分からない状況です。
本日はそんなスペシャルな馬蹄コインケースにフォーカスして、アイテムの特徴や生産の背景をご紹介します。
それでは、いきましょう!
馬蹄コインケースってどんなアイテム?
馬蹄コインケースとは、文字通り馬の蹄(ひずめ)に似た形状のコインケースです。
元々の発祥はヨーロッパとされており、日本では明治時代頃から作られたんだとか。
つまり、国内でも100年以上の歴史を持った形状ということになります。
100年も前に生まれたアイテムが今も多くの方に支持されて作られ続けていると考えると驚きですね!
馬蹄コインケースを開いてみるとこのような形状をしています。
中央には「中ベロ」と呼ばれるフラップがあり、中ベロの前後にある空間が収納ポケットです。
中ベロの後ろ側がマチのある大きなポケットとなっているので、こちらに小銭や小物を入れて使用します。
小銭を取り出す際は、蓋のスペースへ小銭を滑らせてきて受け皿のようにしてお使いください。
容量としては小銭20枚前後が気持ちよく使える範囲です。
30枚を超えると使いづらさがあります。ご使用の際の参考としてみてください。
手前側のポケットにはマチがなく、極狭小となっています。
過去には電車のチケットなどを入れていたようですが、現代としては何を入れたらいいのやら。
一応、落ちたたむことでお札やレシートを収納することができます。念のためとお札を入れたり、一時的なレシートの保管場所としてご活用ください。
馬蹄コインケースは使い方にもコツがあるため、動画で使い方の解説をしています。気になる方はこちらから動画もお楽しみください。
馬蹄コインケースがどのようなアイテムかお分かりいただけましたか?
次の章では、馬蹄コインケースの生産秘話をご紹介します。
大変シンプルな機能を有する馬蹄コインケースですが、作り方は全くの異質。
他のアイテムとは完全に異なる技術が求められます。そのため、Flathorityが抱える職人でも作れる方はたったの二人だけです。
では、どのような点が困難なのでしょうか。
全て手縫いで作られている
馬蹄コインケースの最も異質な点は、製作する工程の全てが手作業だという点です。
通常、革製品はバッグにせよ、お財布にせよミシンを使って縫製されます。
部分的に手縫いをすることはありますが、効率性や正確性の観点から多くの部分はミシンを使うのです。
一方、馬蹄コインケースは全て手縫いで縫製されます。
馬蹄コインケースの縫わなければならない箇所は、革と革が全て直角に交わる部分です。
90度の重なりは基本的にミシンで縫うことはできません。
そのため、駒合わせ縫いと呼ばれる技法を用いて手縫いで縫製していきます。
この手縫いの力加減は大変難しいのですが、力加減1つで馬蹄コインケースの使い勝手が決定すると言っても過言ではありません。
馬蹄コインケースは駒合わせ縫いの工程の良し悪しが品質を決定づけるのです。
強く糸を引きすぎると蓋が固くなってしまいスムーズな開閉ができません。かといって、緩くしすぎると蓋が勝手に開いてしまいます。
このスムーズに開閉できるけれど緩くもない、絶妙な開閉感を生み出すのが手縫いの工程なのです。
ちなみに、馬蹄コインケースの新品は蓋が少し固くなっています。
革は使い込むと柔らかくなる性質があるため、長期使用を加味して固めに仕上げるのが一般的です。
通常の職人はミシンの技術を高める中で、馬蹄の製造工程がいかに異質かお分かりいただけたのではないでしょうか。
加えて、革は同じ名前の素材であっても微妙に厚みや硬さがことなります。
動物由来の素材なので質感には個体差があり、金属のように均一ではありません。
そのため、糸の張力も個体ごとに加減を変える必要があり、加減の変化にも長年の経験が必要です。
また、手縫いは生産効率が高くありません。キャッシュレスが更に浸透する中で、需要も減りつつあるという実情もあります。
生産効率が悪いことから新しく技術を得ようとする人も限られており、今日では失われつつある技術ともいえます。
冒頭でもお伝えしましたが、Flathorityでも馬蹄コインケースを作れる職人は2人だけ。その職人さんもこの道70年を超える大ベテランの方です。
馬蹄コインケースという形状そのものの希少性はお分かりいただけましたか?
馬蹄の形状に込められた特別さを感じていただければ幸いです。
1頭からレコード2枚分の大きさしか作れないコードバン
続いてはシェルコードバンのお話。
シェルコードバンはアメリカ産の高級皮革になります。
ツルッとした美しい光沢と、よく見ると色の濃淡や動物由来の毛穴などが見て取れるワイルドかつ上品な皮革です。
そもそもコードバンとは馬の臀部(お尻)にある高密度の繊維層を指します。
このコードバン層は個体差こそありますが、ザックリとレコードの2枚分程度しか存在しません。
中にはコードバン層のない個体もいるため、その希少性がお分かりいただけるのではないでしょうか。
シェルコードバンについては個別記事でガッツリと解説しているので、まだ見ていない方はこちらをご覧ください。
まとめ
本日は馬蹄コインケースに注目して、馬蹄だからこそ感じられる希少なお話しをさせていただきました。
100年以上も歴史があるクラシックな形状ながら、時代を越えて愛されるタイムレスなデザイン性。手に収めたときのしっくり感は普遍の格好良さがあります。
胸元からサッと出して使いこなしてみたいところです!
馬蹄コインケースは他社でも見かけはするのですが、高級皮革のシェルコードバンを用いたタイプは大変珍しいです。
また、職人歴70年を超える大ベテランの作る馬蹄コインケースは、適度なふっくら感と長期使用を想定した開閉しやすい糸調整がなされています。
世の中にまだ馬蹄コインケースは出回れど、Flathorityの品質に達している馬蹄をどこでも作れるわけではありません。
物としての良さを特に感じられるアイテムとなっているので、皆様のお近くでFlathorityポップアップが開催された際は、ぜひ実物をご覧になってみてください。
本日は以上です。ありがとうございました!
本日登場したアイテム(ホーウィン社製シェルコードバン使用)
Shell Cordovan BATEI Coin Cases (FS-708) ¥33,000(税込)
オリジナルコードバンを用いた馬蹄コインケース
waterOil Cordovan BATEI Coin Cases (FM-708) ¥19,800(税込)