Since 1952 Flathority MADE IN JAPAN

BLOG

Flathority小話その18 1つの製品が届けられるまでに携わる様々な人々

今回はゆるりと小話を1つ。

突然ですが、皆様はTED Talksをご存知でしょうか?

TED Talksとは、各分野の専門家や著名人によるスピーチを公開したものです。

TED Talksはユーチューブにも公開されていて、テクノロジーからビジネス、ライフハックに至るまであらゆる事柄についてのスピーチを拝聴することができます。

 

その中で、個人的に凄く好きなスピーチがあります。

それは北海道でリサイクル事業用マグネットを製造する傍らで、宇宙開発を行う植松努さんのスピーチです。(ユーチューブ動画はこちら。)

このスピーチの中でフェラーリの写真が映し出され、植松さんは以下のように聴衆へ問いかけます。

植松さん「この車が手に入るのはお金持ちだからでしょうか?」

 

 

皆様ならどのように考えられましたか?

ちなみに、私は「そりゃあそうでしょ」と思いました。

 

そんな私を想定していたかのように、植松さんは以下のように続けます。

植松さん「全然違いますね。(中略)この車をお金で買うことができるのは、どっかの誰かが頑張って造っているからなんです。」

非常に当たり前のことですが、個人的に凄くハッとさせられました。

いま当たり前に受けているサービスも誰かが提供しているから成り立つものなんですよね。

持っている服や鞄にも多くの方が携わっているんだと再認識してから、1つ1つの持ち物をこだわるようになりましたし、愛着を持てるようになりました。

取り留めのない話から始まって、なんだか説教臭い書き出しに感じられるかもしれません。

実は説教的にお伝えする気は全くなくて「アイテムの背景を知ると、もっと持ち物を好きになれる」ということを伝えたいと思っています。

 

そこで、今回の記事では1つの革製品が生まれるまでに携わる様々な方々をご紹介します。

サッと思い付いただけでも10カテゴリー以上の業者が1つの製品を世に送り出すために関わっていました。

それぞれについて簡単に解説しますので、気になる部分だけでも読んでいただければ幸いです。

 

それでは、いきましょう!

 


1つの革製品が生まれるまでに携わる様々な方々

 

部材調達編

まずは部材を調達するところからご紹介します。

 

酪農家

まずは原材料となる皮の供給元である酪農家です。

生乳や食肉用の牛を飼育する職業ですね。

レザーは原則として食肉の副産物である皮を利用しますから、酪農家なくして始まりません。

また、牛の飼育には肥料なども必要ですから、農家も革製品を生み出すピースといえますね。

 

タンナー(鞣し業者)

タンナーとは、動物の皮を鞣して革へ加工する業者を指します。

タンナーごとにレシピがことなるため、牛革1つとってもバリエーションは豊か。クロコダイル専業やコードバン専業などと種類も豊富です。

その他、皮を塩漬けにする業者や型押し、エナメル加工などの仕上げ処理を行う仕上げ屋もあります。

塩漬け屋や仕上げ屋は厳密にはタンナーではありませんが、一括りに紹介されることが多いです。

 

各種問屋

問屋とは、生産者から商品を仕入れて小売商へ販売する業者を指します。

物流の安定化をする役割や少ない数でも購入できるようサポートすることが役割です。

革製品における具体例でいえば、革問屋や生地問屋、金具問屋にファスナー屋などが挙げられます。

Flathorityは工場発のファクトリーブランドですから、これら問屋さんとは直接顔を合わせて取引を続けてきました。

通常ではロットを組んで大量に発注しないと仕入れられない部材も、問屋と協業することによって必要な数だけを仕入れることが出来ています。

これによって無駄なコストを削減して、結果として製品のプライシングも抑えることができるのです。

 


加工業者編

部材を仕入れたら加工してアイテムへと仕上げていきます。

ここでは、ただの材料がアイテムへ変化するまでに携わる方々をご紹介します。

 

裁断屋・漉き屋・判押し屋

続いて紹介するのは裁断屋・漉き屋・判押し屋です。

これらの業者は文字通り、革を裁断したり、漉き(革を薄くする加工)を行ったり、ブランドのマークを押す加工を行います。

これらの加工は縫製職人が一括で行うこともしばしばあるのですが、量産をするにあたって全てを縫製職人が担うのは非効率です。そこで、より効率的に生産を進めるために専門の業者に協業をお願いしています。

専門業者というだけあって、弊社協力業者は腕利きばかり。革の裁断では、効率的かつキレイに裁断する術を心得た方々に活躍いただいています。

革には、伸びやすい方向があったり、引き締まり具合が部位によって異なったりと特徴がみられるのですが、これを前提に「ハンドルなら◯◯で抜く」「鞄の正面となるパーツなら××で抜くし、△△は使ってはいけない」と判断して裁断するのです。

一般の方々の目には触れない職業ですが、これらの業者にも職人技が光っているといえますね!

 

縫製職人・サンプル職人

このカテゴリーはミシンを使って縫製を行う方々の紹介になります。

皆様がイメージする【職人】といえばこのカテゴリーに入るのではないでしょうか。

縫製職人とまとめてしまいましたが、実際にはコバ(革の断面)を磨いたり鋲を金槌で打ち付けたりと、ミシン仕事以外も多い職業です。

関東では特に家内工業的な職人が多く、ベテランの方々が活躍されています。

 

続いて、サンプル職人について。

サンプル職人は文字通りサンプルを専門にモノづくりをしている方を指します。

絵型や条件を元に型紙や試作品を作り上げる職業です。

サンプル職人はとにかく考慮しなければならない事項が多く、誰もができるわけではありません。

デザインの再現度から量産時の作りやすさ、希望の販売価格に収まるようにする構造などと、様々な条件を1つのアイテムに集約していきます。

サンプル職人の腕がアイテムの完成度を決めると言っても過言ではないほど重要な役割なのです。

 


アイテム完成後編

アイテムが完成したら皆様へ届ける必要があります。

最後にアイテム完成後に携わる方々を見ていきましょう。

 

小売店

小売店とは、仕入れた商品をエンドユーザーへ販売する業者を指します。

分かりやすい例でいえば、スーパーマーケットやコンビニも小売店に当たります。

Flathorityの場合は、こちらのページで掲載している取り扱い店が協業している小売店です。

個人的に、小売店はお店ごとにコンセプトが異なる点が面白いと思っています。例えば、紳士アイテムの一部としてFlathorityを扱っている場合や、革製品専門店としてFlathorityを置いていることもしばしば。

好みの小売店を見つけられると、様々なブランドを一挙に見られるのが素敵ですね!

 

配送業者

最後にご紹介するのは配送業者です。

ヤマト運輸や佐川急便、日本郵便などがこれに当たります。

小売店に配送するだけでなく、公式サイトで購入いただいたお客様へ直接配送する際にも欠かせない存在です。

物流なくして製品は生み出せませんから最後に紹介しました!

 


おわり

今回は1つの革製品が生み出されるまでに携わる様々なプロフェッショナルを見てきました。

お店に並んでいるアイテムたちは多くの人々の手によって生み出されていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

革製品が手仕事で作られることを既に知っていた方も多いかもしれません。一方、塩漬け屋や裁断屋は業者間での取引しかありませんから今回初めて知ったという方も多いと思います。

このような裏事情を知ると持ち物への愛着も増すのではないでしょうか。

今回の記事が皆様のレザー愛を深める一助となれば幸いです。

 

本日は以上です。

では、また!

 

2023.10.06 | その他
上へ戻る
上へ戻る