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製品の良し悪しを決定付けるファスナーの世界【歴史から種類まで解説】

先日のブログではバッグの裏地に関するアレヤコレをご紹介しましたが、ご覧いただけましたか?

知っておくと今後のアイテム選びの参考になりますので、まだご覧になっていない方はぜひ。


関連記事;知らないと直ぐに壊れる?バッグの内装生地に関するお話

 

本日もバッグに重要な部材についてご紹介します。

本日のテーマは「ファスナー」です。

お財布から鞄まであらゆる革製品へ使われるファスナーは、アイテムの印象を左右する重要な存在です。

ファスナー1つでアイテムの高級感をグンと高めたり、反対にチープに見せたりすることもしばしば。

アイテム全体のほんの1パーツでしかないファスナーとはいえ、重要性と存在感は頭一つ抜けた印象です。

そこで、本日はファスナー編のアレヤコレをご紹介します。

バッグの裏地編と合わせてインプットしてアイテム選びの審美眼を高める一助となれば幸いです。

 

それでは、いきましょう!

 


ファスナーのキホン【歴史編】

まずはファスナーの歴史をご紹介します。

 

ファスナーは1891年にアメリカ人によって考案されました。その後、様々な改良が施され1905年に現在のファスナーの原型が開発されたそうです。

ファスナーの原点「ザ・オリジナル」 https://lyncs.ykkfastening.com/shop/pages/about_products_o2.aspxより引用

 

ファスナーが日本で生産され始めたのは1927年。

チャック印というトレードマークで売り出されたことから、日本で「ファスナー=チャック」の愛称で親しまれました。

なので、チャックと呼ぶのは日本だけなんですよね。ちなみに、「ジッパー」の愛称はアメリカ発。

また、今でこそファスナーといえば国産のイメージですが、生産は昭和に入ってから開始されました。意外にも遅咲きといった印象を受けます。

その後、第二次世界大戦後に進駐したアメリカ軍や欧米文化の流入によってファスナー需要は増加しました。

1950年頃には吉田工業(現在のYKK)が自動生産機を輸入し、一気に飛躍。

現在のYKKは世界シェア第一位でシェア率は45%にも及びます。

世界中にファスナーメーカーは1000社以上あると言われていますから、このシェアは驚異的ですね。

 


ファスナーのキホン【メーカー編】

ちなみに、YKK以外の有名なファスナーメーカーをご存知でしょうか。

Flathorityでの取扱いはございませんが、高級ファスナーとされるファスナーメーカーをいくつかご紹介します。

 

  • ■イタリア:「RACCAGNI-ラッカーニ-」「LAMPO-ランポ-」
    ■スイス:「riri-リリ-」

 

以上の3社は有名な高級ファスナーメーカーです。

https://www.lampo.eu/en/より引用

 

ラグジュアリーブランドのレザーアイテムを見てみるとYKKを含めた以上の4社が採用されていることが多い印象があります。

これらは後述するYKK製エクセラ同様にアクセサリーのような光沢を帯びた美しいファスナーの製造に長けており、長年ラグジュアリーブランドとタッグを組んできました。

その他、高級品ではありませんが、アメリカ:「IDEAL-アイディール-」「TALON-タロン-」、日本:「WALDES-ウォルディス-」などもファスナー界では有名な存在です。

お手持ちのアイテムにも使われているかもしれませんので、ぜひチェックしてみてください。

 


ファスナーのキホン【種類編】

ファスナーの歴史や有名メーカーはお分かりいただけましたか?

続いて、ファスナーの種類についてご紹介します。

ファスナーは様々な種類が生み出されていますが、実は大別すると3種類しかありません。

それが「メタルファスナー」「コイルファスナー」「樹脂ファスナー」です。

それぞれ解説します。

 

・メタルファスナー

最も定番的なファスナーです。

アルミ合金や丹銅のエレメント(ギザギザの開閉部分)が使用されています。

金属製のため丈夫で、見た目の重厚感はコイルや樹脂のファスナーとは別格です。

 

ちなみに、YKK製最高級ファスナーのエクセラもメタルファスナーに属します。

エクセラはスライダーからエレメントまで1つ1つに入念なメッキと研磨を加えた最高級ファスナー。

カラーバリエーションも豊富で製品に最も適した加工感を選択できます。

 

・コイルファスナー

コイルファスナーは文字通り、エレメントがコイル(螺旋)状になったファスナーです。

樹脂で作られており柔軟性に長けています。ファスナー全体が柔らかいことでスムーズな開閉を可能としています。

ファスナー自体も軽くて非常に使い勝手に優れており、実は弊社会長はコイルファスナーが一番好きなんだとか。

 

・樹脂ファスナー(YKK名ビスロンファスナー)

樹脂ファスナーは樹脂を射出することでエレメントを成型したファスナーです。

メタルファスナーと比べて軽量で、樹脂ならではの様々なカラーバリエーションを選択することができます。

比較的に安価で流通量も多いポピュラーなファスナーです。

YKKではビスロンファスナーと呼ばれています。

 


Flathorityで使用しているファスナー

ファスナーのキホンはいかがでしたか。

歴史から種類までをザッとご紹介しました。

ファスナーだけでも奥が深い世界ですよね。

 

ここからはFlathorityのアイテムにはどんなファスナーが使われているの?という部分について解説していこうと思います。

実はFlathorityのアイテムでは先程ご紹介した3種類全てのファスナーを使い分けて採用しているんです。

一見すると、1番高級感なエクセラだけを使用すれば良いように思えます。しかし、実際のところ、ファスナーの優劣は値段だけでは決まりません。

用途と機能性を鑑みて最適なファスナーを選択する必要があります。

Flathorityでは適材適所にファスナーを選択したところ、結果として3種類のファスナー全てを使ってました。

ちなみに、Flathorityが採用するファスナーメーカーは全てYKKとなっています。やはり品質とサポートではYKKが抜群です。さすがは世界シェアNo.1。

では、どのアイテムにどのようなファスナーが配されているのかチェックしていきましょう!

 


waterOil Cordovan Round Wallet (FM-709) ¥46,200(税込)

 

小物の多くには最高級ファスナーのエクセラを採用しています。

先程もご紹介しましたが、エクセラは全てのパーツにメッキと研磨を施したジュエリーのような印象さえ受けるファスナーです。

右上:エクセラ 左下:通常の金属ファスナー

こうして横並びにすると違いは一目瞭然ですね。写真からも光沢の差を感じられるのではないでしょうか。

 

ちなみに、誤解されがちな点としてエクセラの開閉感が挙げられます。

研磨しているから開閉感はさぞかしスムーズな開閉感と思われている方もいるかもしれません。

ですが、実は開閉のスムーズさだけ挙げればコイルファスナーの方がよりスムーズなのです。

もちろんエクセラの開閉感が悪いということはありませんが、見た目の重厚感と似たように開閉感にも重さがあります。

とはいえ、開閉感が軽すぎてもチープな印象を受けますし、開閉感にも高級感があると捉えていただければ幸いです。

なによりも、エクセラはレザーの存在感に負けず、むしろ比肩するほどの質感があります。

加工の手間や高い質感の分、その他のファスナーとは単価も別格ですが、風貌は他の追随を許しません。

最高級の名に恥じない輝きをお楽しみいただけるファスナーです!

 


FlaBonheu Tote (FB-103s) ¥50,600(税込)

 

フラボナトートなどの内装ポケットに使用するファスナーにはコイルファスナーを採用しています。

コイルファスナーは柔軟で開閉感も大変スムーズな一方で、素材自体には高級感がありません。

機能性は非常に高いため、まじまじとみることのない内装用として最適な素材です。

コイルファスナーのエレメントは文字通りコイル状かつ樹脂で作られていることから、手に当たっても痛くないことも嬉しいポイント。

コイルファスナーの断面。エレメントがクルッと回っている。

狭いスペースに手を出し入れすることも内装ポケットではしばしばありますからコイルファスナーとの愛称は抜群です。

 


Oil Milling PC Ruck(M) (FG-105) ¥49,500(税込)

 

最後に紹介するのは樹脂ファスナーです。

新作のPCリュックのメインファスナーでYKK製メタリュクスタフという樹脂ファスナーを採用しています。

メタリュクスタフは金属調に加工された樹脂ファスナーです。メタルファスナーの外観を持ちながら樹脂製特有の軽さ有しています。

その重量は通常のメタルファスナーよりも55%も軽量なんだとか。

PCリュックは文字通りノートPCを入れることを前提に開発したバッグです。

ノートPCは単体でもそれなりの重量がありますから、使用者の負担をなるべく減らすためにもバッグ自体は少しでも軽くしたいところ。

とはいえ、メインファスナーはバッグの印象を決定付けるため、質感も妥協はできません。

そこで、金属ファスナーの印象はそのままに軽量なYKK製メタリュクスタフを採用しました。

 


使い勝手を左右するパーツ「ファスナー」

Flathorityでも様々なファスナーを使っていますが、それぞれに役割があるとお分かりいただけたかと思います。

弊社のモノ作りの思想としては、ただ高いものを詰め込むのではなく、各部材の特徴を理解しながら、目的に沿った素材選びを大切にしています。

たったファスナー1つの細かな話ではありますが、込めた想いも楽しんでいただき、アイテム選びの参考としていただければ幸いです。

本日は以上です。

では、また!

 


本日登場したアイテム

 


waterOil Cordovan Round Wallet (FM-709) ¥46,200(税込)

 


FlaBonheu Tote (FB-103s) ¥50,600(税込)

 


Oil Milling PC Ruck(M) (FG-105) ¥49,500(税込)

2023.11.10 | その他
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