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オリジナルコードバンの経年変化とクリームメンテナンス【約6ヶ月使用】
今年も残すところ数日となりましたね。
Flathorityの営業日も明日(12/28)までとなりますので、買い逃しのないようどうぞ宜しくお願いします。
さて、ブログの本題に移っていきましょう。
2023年、最後のテーマは「経年変化」です。
今年の7月初旬にこちらのブログでもご紹介しましたが、名刺入れをオリジナルコードバンのブルーへ新調していました。
waterOil Cordovan Card Case (FM-704) ¥18,700(税込)
6ヶ月弱使用して傷も目立ってきたので、クリームメンテナンスを行っていこうと思います。
オリジナルコードバン名刺入れの使用環境や傷の状態、クリームを塗ったことによってどれほどキレイになったのかなど、メンテナンスの様子をご覧ください。
また、今回のブログを執筆するにあたって、新品の名刺入れと色味を比べてみました。
すると、想定よりも良い変化が見られます。エイジングに関しても後述してきますので、どうぞお楽しみに。
それでは、本編にいきましょう!
約6ヶ月使用したオリジナルコードバン名刺入れ
早速ですが、お手入れ前の名刺入れをご覧ください。
ご覧の通り傷だらけですね。
オリジナルコードバンは革本来の表情を残すため、水染めによる透き通った見た目をしています。
革を覆うような処理をしていないがゆえに傷も目立ちやすいという特徴があります。
表裏一体ではありますが、傷が目立つという点はデメリットに映る方もいらっしゃるかもしれません。
使用環境としては仕事用のシザーケースに裸で収納していました。
シザーケースでは工具やメモ帳を頻繁に出し入れしているので、擦れによる傷ができてしまっていますね。
また、この名刺入れはなるべく早めにエイジングさせたかったこともあり、2月に1度クリームメンテナンスを行っていました。なので、今回のクリームメンテナンスが3回目ということになります。
使用環境はお分かりいただけましたか?
続いて、メンテナンスに移っていきましょう!
オリジナルコードバンをクリームメンテナンスする
今回はコロンブスのコードバンクリームを使ってメンテナンスしていきます。
メンテナンス方法は以下の通り。
- ブラッシングでホコリを払う
↓
コードバンクリームを薄く全体に塗る
↓
5分ほど放置
↓
馬毛ブラシでブラッシング
大変シンプルな工程ですね。
コードバンクリームはワックス成分を多く含んでおり、革の表面を整える効果があります。保湿という意味合いよりも、傷を目立たせなくする効果が強い印象です。
私が使用している名刺入れはそこまで乾燥しておらず、擦り傷はある状態。コードバンクリームの効果とピッタリな条件になります。
クリームの違いについては過去に実験を通じて紹介しているので、気になる方は以下の記事をご覧ください。
関連記事:コードバンで色々実験してみた~その1~【水ぶくれ・クリーム塗布・防水スプレー】
では、クリームを塗っていきます。
今回は指で薄く塗り拡げました。
コードバンクリームを塗った直後の様子がこちら。
コードバンクリームは水分が少ないため、塗った直後はマットな印象です。
この時、クリームは全面に薄く塗ります。塗ったかな?塗ってないかな?くらいの薄さで十分です。
クリームはコードバンの繊維を浮かせて立たせる側面があり、塗りすぎると光沢をなくしてしまう恐れがございます。塗りすぎには注意しましょう。
5分ほど放置した後に馬毛ブラシでブラッシングしました。
ブラッシングは力を入れずに腕の自重のみで行います。馬毛ブラシでのブラッシングであれば傷付くことはありませんので、大胆に行いましょう。
また、熱を加えるとワックスの馴染みが良くなります。ブラッシングの摩擦を利用するために素早く磨いてください。
※ドライヤーやアイロンなどの強い熱はむしろ悪影響になりますのでご注意を。あくまでもブラッシングの摩擦を活用ください。
クリームメンテナンスを終えた名刺入れがこちら。
かなり艶も戻ってきました。
小キズは依然として残っていますが、大体8割程度改善されたように見えます。
これ以上の傷消しを目指すとなると、削ったり染めたりと専門店でのお仕事です。
コードバンのシューズであればロウなどの鏡面磨きも可能ですが、あの手法は表面を覆ってしまうお手入れ手法。
小物は実際に触れたり鞄に入れるため色移りするクリームは使えません。加えて、せっかくの水染め素上げ状態も失われてしまいますし、靴に行う手法はあまりオススメ致しません。
現状でも大変キレイになりましたから今回のメンテナンスはここまでとしておきましょう。
新品と半年使用したオリジナルコードバン名刺入れを比べてみた
メンテナンスが終わったところで、続いて、新品と比べてみました。
色味や艶もだいぶ違いがあります。
一つ一つ見ていきましょう。
まずは色味から。
新品を見てみると「こんなに鮮やかだったのか」と思いました。
たったの半年ですが、使用した名刺入れはより濃い色味をしています。
エイジングした結果、「真夏の強い青空」のような紺碧といえる色味です。
一方、新品はドラえもんの水色のような明るくポップな色味をしています。
エイジングの妙といえる変化は面白いですね。
続いて、艶感について。
艶は使用によって系統が変わってきた印象です。
新品は均一でなだらかな肌理で、寝かされた繊維による光沢があります。
半年使用した名刺入れの艶は深みのある艶感です。おそらく、使用とクリームメンテナンスによって繊維が立ってきて、繊維に奥行きが出てきたんだろうなと。
これによって深みのあるギラッとした艶になっているわけです。
新品はツルッとキラリ。使用すると深くギラっと。1つのアイテムで2度美味しい楽しさがあります。
水染めによる素上げも功を奏し、透明感もあってかなり好印象です。
段々とオイルコードバン(シェルコードバン)のような表情に近づきつつあるのも面白いポイント。
改めて良い素材だなぁと思いました。
レザーの醍醐味である経年変化を楽しみましょう
本日は約6ヶ月使用したオリジナルコードバンを用いた名刺入れのメンテナンスとエイジングの様子をご紹介しました。
以前にお客様から「オリジナルコードバンは傷が目立って難しい。ブログはキレイな様子ばかり載せていてリアル感に乏しい」といったお声をいただいたことがあります。
このお声は「実にその通りだな」と。
もっとリアルな様子やキレイにメンテナンスする過程をご覧になりたい方もいらっしゃるのは当然です。
そこで、本日はデメリットも含めた「酸いも甘いもある情報」をお届けしました。
オリジナルコードバンは素上げゆえに、傷がダイレクトに革へ刻まれてしまうという側面があります。キレイな状態を長く楽しみたい方にとって簡単な素材ではございません。
そのデメリットの分、透明感のある美しい変化は唯一無二。
メンテナンスによっては傷も目立たなくなりますから、本日ご紹介した方法を参考にしていただければ幸いです。
年末年始はお休みの方も多いでしょうから、ゆっくりとレザーアイテムのお手入れをしてみるのも良さそうですね。
また、2024年もFlathorityの魅力や革の豆知識を紹介していきますので、何卒よろしくお願い致します。
本日は以上です。
良いお年を!!
本日ご紹介したアイテム
waterOil Cordovan Card Case (FM-704) ¥18,700(税込)
コードバン専用クリーム (CB-003) ¥1,760(税込)
革専用ジャーマンブラシ2(馬毛) (CB-005) ¥1,650(税込)