Since 1952 Flathority MADE IN JAPAN

BLOG

シェルコードバンと油性クリームの相性は最悪!?

Flathorityのアイテム郡において特に人気を獲得しているシリーズがシェルコードバン。

アメリカ・ホーウィン社製のオイルコードバンでして、強い光沢とムラ感のあるワイルドな表情が特徴的なレザーです。

コードバンは馬の臀部にしかない希少な原料を半年以上かけて鞣されるため、流通しているレザーの中でも最高級に位置します。

希少性の高い素材であるため折角なら大切に育てていきたいですよね。

 

そこで、今回はシェルコードバンのメンテナンスに関して、注意喚起を1つしてみようかなと。

タイトルにもある通り、シェルコードバンと油性クリームは相性をきちんと考えなければならない関係にあります。

本ブログでは、実際にシェルコードバンに油性クリームを塗り込んでみて、発生する現象を写真を踏まえてご紹介。本ブログをご覧いただければシェルコードバンにしてはいけないメンテナンス方法を知ることができます。

現象が起こるメカニズムから理解して、レザーを更に楽しんでいきましょう!

 


油性クリームがシェルコードバンの特徴を奪う

最初にお詫びすることが1つございます。ブログタイトルで「シェルコードバンと油性クリームの相性が悪い」とお伝えしましたが、実はこの表現は誤りです。

シェルコードバンは別名オイルコードバンと呼ばれる通り、実は油分との相性が非常に良い素材でもあります。なので、必ずしも油性クリームを使うことが間違いというわけではありません。

一方で、その相性の良さからシェルコードバンは油分を簡単に内部まで浸透させる機能を持っています。ただし、革の内部に油分が多く浸透すると、寝かしつけられていた繊維が立ち上がり「曇り」を発生させます。

シェルコードバンはギラッとした強い光沢が最大の魅力であるにも関わらず、油分を吸収し過ぎると曇ってしまう。以上の現象から本記事は「シェルコードバンと油性クリームは相性が悪い」と表現させていただきました。


革専用モイスチャークリーム (CB-001) ¥2,200(税込)

 

つまり、保湿面だけに注目すると油性クリームは非常に有効です。

シェルコードバンに強いカサつきが見られた際に、ごく少量を塗布して乾燥後に磨くだけでしっとりとしてきます。場面ごとに使い分けてみてください!

 


新品のシェルコードバンに3つのクリームを塗ってみた

シェルコードバンと油性クリームの相性と実態をご紹介したところで、実験に移っていきましょう。

今回はFlathorityで取り扱っている油性クリームであるコロンブス社のモイスチャーを塗ってみました。

他のクリームとの違いも感じられるよう、同社のコンディショングクリームコードバンクリームも同じ革の端切れに塗布していきます。

今回は革の変化が強く現れるようにしたかったので、写真の通り大胆にクリームをぬりぬり。このまま3つのクリームが乾燥するまで待ち、余ったクリームを除いていきます。

では、どのような結果になるのかチェックしていきましょう。

 


【結果】モイスチャーだけ曇った

こちらの写真をご覧ください。

左からコンディショニング、モイスチャー、コードバンクリームです。(左右は乳化性クリーム、真ん中は油性クリームです。)

真ん中のモイスチャークリームだけ明らかに曇っていますね。やはり、浸透しやすさの関係なのかモイスチャークリームだけ突出して曇る結果となりました。

過去にも似た実験を行っており、その時もモイスチャークリームだけが強い浸透をみせています。


関連記事:コードバンで色々実験してみた~その1~【水ぶくれ・クリーム塗布・防水スプレー】

 

ちなみに、全ての油性クリームがこのような結果になるとは限りません。ろう成分が強い油性クリームであれば浸透しづらくなりますし、乳化性クリームでも曇るものがあるでしょう。

あらゆるクリームが正解にも不正解にもなり得るため、育てたい方向を明確にした上で、その方向に合った特性を持つクリームをご使用になることが重要です。お手持ちのクリームが目的に沿った特徴を持っているかは不確かでしょうから、目立たない箇所で試し塗りしてご使用ください。

寄りの画像。左からコンディショニング、モイスチャー、コードバンクリーム

 

総論として、シェルコードバンを自ら好んで曇らせたい方は少ないでしょうから、シェルコードバンにモイスチャークリームを塗布するのは避けるのが無難でしょう。あまりにも乾燥しているのであれば、有効な手立てとなるので、使い分けてみてください。

 


コンディショニングクリームが案外良かった

今回の実験で意外だったことはコンディショニングクリームが使いやすいと感じた点です。


革専用コンディショニングクリーム (CB-002) ¥1,760(税込)

 

先の関連記事では水ぶくれの危険性もあって、シェルコードバンにコンディショニングクリームを使うことはオススメしていませんでした。

しかし、今回の実験では特に水ぶくれや曇りを発生させることなくメンテナンスすることができました。コードバンも元は動物の皮膚組織の一部ですから、適度な水分は重要です。

油分と水分を適度に内包しているコンディショニングクリームは使い勝手の良いクリームだと、認識を新たにしました。

むしろ、今後使っていきたいと思える仕上がりだったので、ここでシェアしたいと思います。

皆さまは普段、どのようなクリームでメンテナンスしていますか?

今回の内容が新しい気付きとなれば幸いです。

 

本日は以上です。

では、また!


メンテナンスアイテム


革専用コンディショニングクリーム (CB-002) ¥1,760(税込)

 


革専用モイスチャークリーム (CB-001) ¥2,200(税込)

 


コードバン専用クリーム (CB-003) ¥1,760(税込)

 


革専用ジャーマンブラシ2(馬毛) (CB-005) ¥1,650(税込)

2024.07.19 | 革
上へ戻る
上へ戻る