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えっ、『レザー表記』が使えなくなる?2024年JIS規格改訂で何が変わるのか

レザー製品は、その独特の質感と美しさから、長く愛される素材ですよね。

でも、最近は「ヴィーガンレザー」「アップルレザー」など、本物の動物の革を使っていない“レザー風”の素材も増えています。

サステナビリティの観点から注目されていますが、実はこうした素材が本物のレザーと混同されて、消費者が誤解して購入していることも多いのです。

そこで、2024年3月、日本産業規格(JIS)では「革」「レザー」の表記に関する新しいルールが制定されました。

今回の改訂により、動物由来でない素材は「革」「レザー」と名乗ることができなくなり、商品名の表記にも影響が出ることが予想されます。

本日はこの新しい規格がどのようなものか、わかりやすく解説していきたいと思います。

 

それでは、いきましょう!

 


そもそも「革」「レザー」って?

「革」や「レザー」と聞いて皆さんが思い浮かべるのは、おそらく牛や豚など動物の皮を加工したものではないでしょうか。

動物の皮を「なめし」と呼ばれる工程で加工することで、腐らなくした素材が「革(レザー)」です。鞣しをすることで丈夫でしなやかな素材が生まれ、バッグや財布、靴といったさまざまな製品に使われてきました。

特に動物由来の革には耐久性があり、使うほどに独自の経年変化(エイジング)を楽しむことができるという特徴があります。こうした「育てる楽しみ」が、レザー製品の大きな魅力でもありますね。

 


最近増えた「〇〇レザー」とは?

しかし、近年はサステナビリティやエシカル消費の観点から、「ヴィーガンレザー」「アップルレザー」など、動物の革ではない“レザー調”の素材が登場しています。

植物の果実や廃棄物を再利用する形で作られるこれらの素材は、動物の革に近い見た目と風合いを持つため、まるで本物のレザーのように感じられることが多いでしょう。

例えば「アップルレザー」はリンゴの絞りかす、「サボテンレザー」はサボテンの葉を使用して作られます。環境に配慮した素材として注目されています。

特に、近年は技術の進歩も著しく、レザーのプロであってもパッと見ただけでは見分けのつかない合成皮革も増えてきました。

筆者としても、正直にいって見分けがつかない合皮が本当に多いです。これら人工的な皮革は、人類の叡智であることは間違いありませんが、消費者が「これは本革なのか、それとも違うのか?」と混乱される方も増えてきました。

 


JISの新しい規格では「◯◯レザー」は使えない

そこで2024年3月、日本産業規格(JIS)は「革」「レザー」という表記を「動物由来に限定する」と定義しました。

つまり、動物の皮を使わない「アップルレザー」や「サボテンレザー」といった素材は、今後は「レザー」を名乗ることができなくなるのです。

この新しい規格は法的な拘束力はないものの、消費者が本革と合成素材の違いをはっきり理解できるよう、表示の透明性を高めることが期待されます。

また、このJIS規格の変更は、日本だけでなく国際規格のISOや、欧州規格のENに沿ったものでもあります。

すでにイタリアやフランスなどの革製品が盛んな国々では、「レザー」を動物由来のものに限定する法律が定められており、日本もこの流れに追随した形です。

 


具体的に何が変わるのか?

今回のJIS規格改訂で特に注目すべきポイントをいくつか挙げてみましょう。

  1. 動物由来以外の「〇〇レザー」はNG

動物由来でない素材には、「レザー」や「革」という表記が使えなくなりました。

例えば、アップルやキノコ由来の素材は「合成皮革」や「人工皮革」といった表記に変わります。

「ヴィーガンレザー」「フェイクレザー」「PUレザー」といった呼称も、消費者の誤解を招かないために避けられるようになるでしょう。

 

  1. 「エコレザー」の新しい定義とは

これまでは、動物を使用しない素材も「エコレザー」として販売されていましたが、今後は「環境に配慮して製造された動物由来の革」のみがエコレザーとされます。

例えば、排水処理などの法令に遵守し、環境への負荷を減らして作られた動物由来のレザーだけが「エコレザー」と認められることになります。

 

  1. 分類も細分化

さらに、JIS規格ではレザーに似た見た目を持つ素材についても、名称を統一することが定められました。動物由来以外の素材は「合成皮革」「人工皮革」「皮革繊維再生複合材」などに分類され、植物や石油由来であっても「革」と呼ぶことができなくなりました。

また、「スエード」や「ベロア」「ヌバック」といった言葉も、本革の一部としてのみ使われ、人工素材には使用できません。

 


まとめ

今回のJIS規格の改訂により、「革」「レザー」という表記が動物由来に限定され、消費者が本革と人工素材をより明確に区別できるようになりました。

これにより、消費者の混乱が減り、さらに本革の価値や特性が見直されるきっかけになるかもしれません。

これまで「アップルレザー」や「ヴィーガンレザー」として販売されていたものが、「合成皮革」や「人工皮革」として表記されることで、消費者はより明確にその違いを認識できるでしょう。

また、「エコレザー」として販売される製品も動物由来に限られるため、サステナブルな製品選びがしやすくなる点も大きなメリットです。

とはいえ、JIS規格の変更はまだまだ認知が広がっておらず、法的拘束力もありません。なので、この新しい規格と認識が周知されるには時間がかかるでしょう。認知が広がるまでは、「レザー」という表記だけに惑わされず、使われている素材が何なのかチェックしてくださいね!

Flathorityでは、引き続き本革製品の魅力や正しい知識をお伝えしていきます。皆さんも、これを機に自分の好みや価値観に合った素材を見つけてみてくださいね!

 

本日は以上です。

では、また!

2024.11.01 | その他
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