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改めてワシントン条約とは?【レザーとの関わり解説】

普段何気なく目にする美しいレザー製品。その中には、実は国際的なルールで取引が厳しく管理されているものがあることをご存じでしょうか?

そのルールの中心となるのが【ワシントン条約(CITES)】です。

経済産業省HPより

先日投稿したエキゾチックレザーを解説する記事でも登場したワシントン条約ですが、名前こそ度々聞くものの、その具体的な内容については案外知りませんよね。

 

そこで、今回はこのワシントン条約について、初心者にも分かりやすく、そしてレザー製品との関わりに焦点を当てて解説していきます。

これを読めば、ワシントン条約がどのように自然環境を守り、私たちの生活に影響を与えているのかが理解できるはずです。

それでは、いきましょう!

 


ワシントン条約とは【概要】

まずは、ワシントン条約の具体的な内容についてご紹介します。

 

  1. ワシントン条約の目的

ワシントン条約(通称:CITES)は、絶滅の危機にある野生動植物を守るための国際的なルールです。

1973年にアメリカのワシントンD.C.で採択され、1975年に発効しました。現在、180か国以上が加盟しており、日本は1980年からこの条約に参加しています。

 

  1. 主な役割

この条約の目的は、動植物の国際取引が原因で種が絶滅してしまうのを防ぐことです。

具体的には、以下のような取引を管理しています。

・動物や植物そのものの輸出入
・革製品や薬品、装飾品などに加工されたものの取引

 


レザーとワシントン条約の関わり

ワシントン条約は、私たちの身近なレザー製品にも深く関係しています。

特にワニ革、ヘビ革、象革などのエキゾチックレザーは、この条約の規制対象となることが多いです。

レザー製品が規制される理由

エキゾチックレザーは、その美しい模様や耐久性から高級品として人気があります。しかし、乱獲や密猟が原因で、これらの動物が絶滅の危機に瀕している場合も少なくありません。

そのため、ワシントン条約では、「動物の保護と持続可能な利用」を目指し、エキゾチックレザーの取引を厳しく管理しています。

 


具体的に何が規制されているのか

ワシントン条約では、動植物を3つの「附属書」に分類して管理しています。

これは動植物ごとに必要な保護の程度によって区分され、なんと約5,950種の動物と約32,800種の植物が掲載されています。

・附属書I 

絶滅の危機が非常に高い種を対象にしたリスト。商業目的の取引は禁止され、特別な場合を除き輸出入は認められません。

例:トラ、アジアゾウ、一部のクロコダイル。

・附属書II 

現在は絶滅の危険が低いが、取引を続けると絶滅する可能性がある種。輸出には許可証が必要です。

例:パイソン、ワニの一部、サンゴ。

・附属書III 

特定の国が保護を必要と考えた種。他国の協力を得るためにリスト化されています。

 

レザーに関する具体例

では、レザーに注目してみると、対象となる動物はどのようなものが該当するのでしょうか。

代表的なエキゾチックレザーを見ていきましょう。

(1) ワニ革(クロコダイルやアリゲーター)

ワニ革は、高級バッグや財布に使われることが多い素材です。一部のワニは附属書Iに分類されていますが、養殖されたものに限り、許可証があれば取引可能です。

(2) ヘビ革(パイソンやコブラ) 

バッグや靴などに使われるヘビ革。附属書IIに分類される種が多く、輸入にはCITES許可証が必要です。

(3) 象革(エレファント) 

象革は主に附属書Iに分類されており、取引には特に厳しい制限があります。密猟防止のため、象牙と同様に管理が強化されています。

(4) その他のエキゾチックレザー

・オーストリッチ(ダチョウ): 一部が附属書IIに分類
・リザード(トカゲ): 一部が附属書IIに分類
・ガルーシャ(エイ革): 高い耐久性と独特の質感を持つ一部の種が規制対象

 


ワシントン条約で我々が受ける影響とは

ワシントン条約がレザー産業に与える影響は多岐にわたります。

まず、高級レザー製品の価格が上昇する傾向があります。これは、絶滅危惧種の取引を合法化するために必要なCITES許可証の取得や、規制を遵守するための管理コストが製品価格に反映されるためです。

その結果、エキゾチックレザー製品はさらに高級志向が強まり、一般消費者には手が届きにくくなることがあります。

一方で、この規制の影響を受けない素材、たとえば牛革や人工皮革(合成レザー)への需要は高まっていくことでしょう。これらの素材は比較的安価で手に入りやすいという観点からも注目されています。

また、海外でエキゾチックレザー製品を購入した際、日本に持ち込むには注意が必要です。これらの製品は、「ワシントン条約」で規制されている場合があり、最悪の場合はせっかく購入したアイテムを国内に持ち込めない可能性があります。

購入前に現地の規制を確認し、必要書類を揃えておきましょう。

 


まとめ

ワシントン条約は、自然環境を守るための重要なルールであり、レザー製品の世界にも深く関わっています。

エキゾチックレザーの魅力を楽しむ一方で、動植物を守るための責任ある行動が求められる時代です。エキゾチックレザーの多くがワシントン条約に記載のある素材で、世界的に保護されています。なので、エキゾチックレザーのアイテムを購入する際は、なるべく信頼のおけるブランドや小売店から求めることがおすすめです。

また、一度手にしたアイテムは、エキゾチックレザーに関係なく、丁寧にメンテナンスをして長く愛用することも、自然環境を守る一歩となります。

Flathorityブログでは、レザーのお手入れ方法もアップしているので、そちらもご覧いただければ幸いです。

 

では、また!

 


参考サイト

・環境省HP>ワシントン条約と種の保存法

・経済産業省HP>ワシントン条約について(条約全文、附属書、締約国など)

2024.11.29 | その他
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