2025年3月に開催されたパリファッションウィーク、そしてその前に行われたミラノコレクション。これらのショーが一通り終わり、次なるファッショントレンドが少しずつ見えてきました。
「メンズバッグ」の視点から2025年秋冬シーズンを俯瞰してみると、大きなひとつの流れというよりは多様化がキーワードになりそう。
とはいえ、全く何も共通点がないわけでもありません。
今回は、パリコレやミラノコレクションの傾向を振り返りながら、次シーズンのメンズバッグ事情を解説していきます。
2025年秋冬のトレンドは【ない】のがトレンド?
結論から言うと、「これが大本命!」と呼べる圧倒的なトレンドはありませんでした。
デザインもカラーリングも、各ブランドが個性的に表現しており、一つに収まらない多様な動きが見られたのです。
写真7/56|プラダ(PRADA) 2025-26年秋冬 メンズコレクション – ファッションプレス
写真1/84|ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON) 2025-26年秋冬 メンズコレクション – ファッションプレス
ブラックがやや多めか
とはいえ、ブラックは最もフォーマルな装いを演出しやすいカラーということもあり、多くのルックで使用されていました。
写真9/69|ヴェルサーチェ(VERSACE) 2025-26年秋冬 ウィメンズ&メンズコレクション – ファッションプレス
写真77/86|フェンディ(FENDI) 2025-26年秋冬 ウィメンズ&メンズコレクション – ファッションプレス
写真17/57|ジル サンダー(JIL SANDER) 2025-26年秋冬 ウィメンズ&メンズコレクション – ファッションプレス
今回のファッションウィークでは、クラシック回帰やエレガントなスーツスタイルが注目されていました。こうしたフォーマルな装いに合わせてバッグもブラックが取り入れられた印象です。
写真3/80|バレンシアガ(BALENCIAGA) 2025年冬ウィメンズ&メンズコレクション – ファッションプレス
ただ、メンズファッションではブラックは元々定番色。
「今さらブラックがトレンドというのは無理があるかも…」という意見も正直ありますよね。定番カラーとして、引き続き“ブラックは強い”といった認識で捉えておくのが良いでしょう。
新素材?ファーやヌバッグにも注目
エレガント化が進む中、洋服だけでなくバッグにもファーやシアリングを用いたアイテムが目立ったのも印象的でした。
写真10/112|ジョルジオ アルマーニ(Giorgio Armani) 2025-26年秋冬 メンズコレクション – ファッションプレス
写真8/69|ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA) 2025-26年秋冬 メンズコレクション – ファッションプレス
写真14/86|フェンディ(FENDI) 2025-26年秋冬 ウィメンズ&メンズコレクション – ファッションプレス
バッグにもファーのような素材感を活かしたルックが見られ、テクスチャーにこだわるブランドが多かったのです。
とはいえ、メンズ全体でファー素材が大きく流行するかというと疑問が残るところ。
ただ、ヌバックと呼ばれるマットで起毛感のあるレザーには可能性がありそう。ファーほど派手ではなくとも、しっとりした質感で秋冬の装いにマッチしやすいことから、ネクストトレンドとして注目しておくと面白いかもしれません。
大きな流行が生まれにくい理由
ここまでが2025年秋冬のコレクションを見てのトレンド解説でした。煮えきらない部分もありますがいかがでしょうか。
ここからは、解説したトレンドの内容となった理由といいますか、背景を考察してみます。
パンデミックとスマートフォンの影響
ひとつに、パンデミック後の生活様式の変化が挙げられるのではないでしょうか。
スマホ一台で用が足りてしまうこの時代、必ずしも「バッグが必要」というわけではなくなりました。
機能面だけを求めるなら選択肢は無数にありますし、差別化が難しいのも事実。その結果、圧倒的なトレンドが生まれにくい構造になっているのです。
流行は村社会に
また、SNSの発達により、一つのメディアが「これこそ流行!」と牽引する時代が終わりを迎えています。
今は個々のスタイルが重視され、多様な情報源から好みのアイテムを自由に選ぶ流れが強まっています。そのため一人のカリスマや一つのトレンドが生まれるというより、小さな村々が点在し、その村の中で小さなトレンドが消費されているが、現在の印象です。
そのため、一極集中型のブームが作られにくくなっているのではないでしょうか。
人事異動がもたらす転換期
もう一点注目したいのは、ラグジュアリーブランドのデザイナー人事です。
たとえば、GUCCIやBALENCIAGA、DIOR、CELINEなど有名メゾンのメインデザイナー退任・就任が相次いでいます。ブランドの方向性を担うデザイナーが変われば、その特徴的な世界観やアイデンティティが大きく変化する可能性があります。
今はまだ「新デザイナーとブランドの親和性を高める時期」であり、トレンドを作り出す段階まで至っていないのかもしれません。
急激な革新よりも、じっくりと地盤を固めるタイミングという見方ができます。
まとめ:2026年春夏に期待?
以上を踏まえると、2025AWシーズンのメンズバッグは大きな一極化が起こらず、自由で個性豊かなデザインが中心となりそうです。
ブラックの人気が衰えないのは当然として、ファーや起毛レザーなどマテリアルに凝ったアイテムも増えるかもしれません。
ただし、ファー素材がメンズに大々的に降りてくるかは不透明。むしろ、ヌバッグやコーデュロイといった、ほんのり起毛した素材がプチトレンドになる可能性が高そうです。
他のトレンド可能性としては、レディースで現在流行していることが、メンズに移ってくることでしょうか。レディースのトレンドとしては、バッグの複数個持ちやチャームを複数付けることなどが挙げられます。
、、、メンズでこれらは流行らなそうじゃないですか?
1つの可能性としてはあり得る話ですが、実情と照らし合わせると可能性は極僅かかと。
そして、ブランドの人事異動なども踏まえると、次なるメガトレンドが動き出すのは2026年春夏以降なのかもしれません。しばらくは「自分の感性に合うバッグを探して楽しむ」時期が続きそうですね。
本日は以上です。
では、また!