[Flathorityオリジナル]水染めオイルコードバン【動画あり】
宮内産業さん協力のもと、オリジナルコードバン製作スタート
コードバンを通年全ての工程を一貫して鞣すタンナーは世界でも3社しかありません。
アメリカのホーウィン社、姫路にある新喜皮革、そして長野の宮内産業となっています。
(通年での取り扱い量はわずかですが、イギリスクレイトン、アルゼンチンロシナンテも含め世界で5社という方もいます)
日本に2社あるというのは誇るべき事ですね。
<広大な敷地を有するコードバンタンナーです>
<コードバン取り扱い量は世界TOP3>
弊社でも今までほぼ全てのコードバンを採用してきたと思いますが、希少な素材なだけに供給の不確実性や品質の安定性など問題も多くありました。
それなら、どこにも負けない高品質なFlathorityだけのオリジナルコードバンを作れないかとの想いから今回の企画がスタートしました。
そこで協力頂いたのが、長野県のコードバンタンナー宮内産業さん。
革好きな方でもホーウィンや新喜皮革さんには馴染みがあっても宮内産業は知らないという方も多いと思います。
<最新の設備と熟練した職人さん>
コードバン専門の職人集団
宮内産業さんは非常に職人気質なタンナーであり、あまり表に出てくるような事がないのですが、日本のランドセルで使用するコードバンの9割以上が宮内産業さんで製作しているという、経験や知識では世界トップクラスのノウハウを持っっているコードバン企業です。
長野県飯田市に非常に大きな工場があり、鞣しから染色、仕上げまで一貫して行なっています。
ちなみに、世界のコードバン原皮の約5割がホーウィン、約2割が新喜さん同量程度の2割を宮内産業さんが扱っています。
その他のコードバンタンナーは残りの1割未満を分け合っているということですね。
<各工程にその専門の職人さんが配置されています>
オリジナル水染めオイルコードバン
今回、オリジナルコードバンを製作する上での希望は、顔料は使わず手間のかかるアニリン染め(水染め)にし、経年変化がしっかりと美しい。
色味はヨーロッパにも負けない風合いと透明感という部分でした。
宮内産業さんのノウハウを活かし、微妙な色味や透明感、使ってみての修正など納得のいくまで何度も試作を繰り返して頂きました。
革の下地はポーランド産の原皮を使用し、経年変化を楽しめるフルベジタブルタンニンで鞣しています。
<左が顔料染め、右が水染め>
鞣しが済んだ原皮は乾燥させ、かね出し(裏側から削っていき中心部にあるコードバン層を掘り出す)に入りますが、この工程は非常に難しく品質を左右させる作業になります。
熟練した職人さんが一枚一枚丁寧にシェービングし、"革のダイヤモンド"と呼ばれるコードバンへ生まれ変わらせます。
下の写真は鞣した直後のコードバン原皮ですが、中心部分の薄い黒い線がコードバン層になり、この層を残すようにギリギリまで削っていきます。
<大量のコードバン原皮>
<中央の黒い部分がコードバン層>
宮内産業さんは特徴でもある機械化された最新設備が多くあるのですが、結局一番重要な丘染め(染めの最終工程、表面を染色)と仕上げ(オイルや蜜蝋などを塗り込み艶を整える)は完全に職人さんの手作業で行ってもらっています。
やはり、水染めの微妙な質感は機械塗りでは再現できず、最終的には職人さんの目と手でしっかりと仕上げてもらっています。
そのような想いと工程の末に出来上がったのでFlathorityオリジナルの"水染めオイルコードバン"です。
宮内産業さんには無理難題も快くご対応いただき、非常に満足のいくコードバンを作って頂きました事をこの場を借りて深く感謝申し上げます。
<納得のいくまで試作>
<仕上げは職人の手作業>
<若い職人さんから熟練した職人さんまでひとつになり知恵を出し合っています>
企画スタートから一年近く試行錯誤し出来上がった最高峰のコードバンのエイジングを是非お愉しみください。