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改めてシェルコードバンとは?【革製品のメーカーが特徴を総まとめします】Part2
最高級皮革として人気をいただいているホーウィン社製シェルコードバン。以前のブログでは「特徴総まとめPart 1」と題して、シェルコードバンの概要と製造方法をご紹介しました。
改めてシェルコードバンとは?【革製品のメーカーが特徴を総まとめします】Part1
今回は特徴総まとめPart2をお送りします。内容は「革の特徴やエイジング、お手入れ方法」と、皆様が最も気になるであろうポイントです。
Part1と本記事をご覧いただければシェルコードバンのことをある程度知ることができます。一緒にシェルコードバンについて学んでいきましょう!
シェルコードバンに見られる特徴まとめ【色、ザラ、曇り、スタンプ】
シェルコードバンはそもそも高単価であることに加えて、光沢の強い素材であることから「欠点のない完璧なレザー」と誤認されることが多い素材です。
事実、革のダイヤモンドと称されるほどの光沢は大変素晴らしく多くのファンを抱えています。
一方で、シェルコードバンには見逃されがちな落とし穴ともいえる特徴もあるのです。
シェルコードバンは一枚一枚の個体差が激しく、それぞれ違った表情を見せます。その中には、良い点だけでなく人によってはデメリットに映る特徴があるかもしれません。
ここでは、シェルコードバンに見られる特徴をまるっとご紹介するので、シェルコードバンがご自身に合うレザーなのかご確認ください。
色【カラーリング】
シェルコードバンには様々なカラーがありますが、Flathority では6色をご用意しています。
また、シェルコードバンの色味は個体差が激しいため、同じお色味であっても入荷時期や裁断された箇所で差が生まれます。
裁断前のシェルコードバンをご覧ください。
全体的にムラ感があり、均一な染め方ではありません。1枚の革の中で見比べても中央と縁とでは色味に差があることが分かりますね。
このようにシェルコードバンはアメリカ産らしいワイルドなムラ感を楽しむレザーなのです。
なので、均一な表情をお好みの方は国産コードバンの方がおすすめ。何層にも塗り重ねられた深みのあるカラーリングをお楽しみたい方はシェルコードバンをお選びください!
ザラ・曇り
シェルコードバンは高密度な繊維層を寝かせることで強い光沢を生み出しています。しかし、コードバン層以外の繊維層が除去しきれずに含まれたり、寝かしつける作業が甘かったりして表面がザラザラとすることがあります。
これは「ザラ」と呼ばれる現象です。
裁断前から目立つザラについては除くようにすることが一般的ですが、グレージングによって寝かしつけられていたザラが現れる場合があります。国産であればザラはタンナーによってほとんど取り除かれていますが、ホーウィン社は意外と大雑把。これも1つの特徴として知っておくと良いでしょう。
次に、シェルコードバンの表面に白っぽくモヤがかかったように見えることがあります。
これは「曇り」と呼ばれる現象です。
曇りはシェルコードバンに含まれる油分が革表面に染み出して固まることで発生します。
以上のザラと曇りもシェルコードバンによく見られる特徴です。対処方法は後述するので楽しみに読み進めていただければ幸いです!
スタンプ
シェルコードバンの裏面をご覧ください。
なにやら黒いインクで複数のスタンプが押されていますね。これらはレザーマニアに人気で「ホーウィンスタンプ」と呼ばれています。
文字通りホーウィン社がレザーを管理したり、ホーウィンが手掛けていることを証明したりするために押されるものです。
上からホーウィン社製の証スタンプ、大きさを表すスタンプ、製造年月日に関わるスタンプなんだとか
また、スタンプとは関係ありませんが、裏面全体をご覧ください。
染料がいたるところに付着しています。表面を染色する工程で裏面にも染料が付いてしまったようです。
シェルコードバンの裏面はどれもこのようにまばらな表情で、あまりキレイとは言えません。裏面好きなコアなファンもいるのですが、基本的にシェルコードバンの裏面は均一ではないということは理解する必要がありそうです!
また、先程から裏面とお伝えしていますが、実はこちらの面こそ馬の表皮に当たります。牛革でいうところの銀面です。
この裏面は繊維が複雑に絡み合っており、コードバン層ではありません。磨いてもコードバンのツヤは現れないので注意しましょう。
シェルコードバンを扱う上で注意すべきこと【傷、水濡れ】
シェルコードバンの特徴はいかがでしたか?
ここからはシェルコードバンを取り扱う上での注意事項をご紹介します。
傷について【気にしすぎず致命傷を避ける】
シェルコードバンはツルッとしたスムースレザーなので傷を付けてしまうと、その傷がとても目立ってしまいます。
傷は使うと必ず付くものですから気にしすぎるのも健全ではありませんが、やはり気になりますよね。
特に刃物で切ったような切り傷やアスファルトでこすったような擦り傷は元通りにならないので注意が必要です。
注意するとはいっても傷を気にしすぎては普段使いできませんので、直らないような致命傷を避けつつ、多少の傷は大目に見るくらいの感覚で使うのが良いかもしれません。
傷に関して詳しく知りたい方は、過去記事においてシェルコードバンに様々な傷を付ける実験をご紹介しております。気になる方は以下の記事をご覧ください。
コードバンで色々実験してみた~その2~【切り傷・擦り傷・引っかき傷を付けてみた】
水濡れについて【極力避けましょう】
コードバンを濡らしてしまうと「ブク」と呼ばれる濡れた跡ができます。
先にもご紹介しましたが、シェルコードバンは高密度な繊維層を寝かせることで美しい光沢を生み出しています。コードバンを水で濡らしてしまうと、この寝かせていた繊維が立ち上がることで「ブク」になるのです。
ブクは周囲と比べると少し浮き上がった状態になります。
ブクが発生すると家庭レベルで補修するのは困難です。コードバンに関しては水濡れしないように細心の注意を払うようお願い致します。
コードバンの水濡れに関しても過去に実験を行っています。記事にまとめているので、気になる方は以下の記事をご覧ください。
コードバンで色々実験してみた~その1~【水ぶくれ・クリーム塗布・防水スプレー】
シェルコードバンのエイジング
続いて経年変化(エイジング)についてご紹介します。
シェルコードバンのエイジングは色のトーンが暗くなり、光沢が増すことで知られています。
ここでは論より証拠ということでお客様のエイジングフォトをご覧ください。
新品とエイジングフォトを並べて見ました。
ご使用される環境によってもエイジングに違いがあることが分かりますね。自分だけのレザーアイテムへ変貌する様子は革の醍醐味ですね!
シェルコードバンのお手入れ方法
最後にお手入れ方法をご紹介して終わりたいと思います。
シェルコードバンはオイルの含有量が多いため、使い始めから数ヶ月間はオイルメンテナンス不要でお楽しみいただけます。個人的には半年間はブラッシングのみで良いと考えています。
ブラッシングの回数はお好みですが、半月から1ヶ月に1回くらいが目安でしょうか。ホコリがたまらない程度にブラッシングしましょう。
先述していた曇りもブラッシングで解消されることが多いです。曇りが気になる方もブラッシングしてみてください。
続いて、傷や乾燥が気になる場合のメンテナンス方法をご紹介します。
メンテナンス方法は以下の通り。
メンテナンス方法
①指にごく少量のコードバンクリームを取り、お財布全体に薄く塗布する
②馬毛ブラシでお財布全体をブラッシングする
③ブラッシングを終えたお財布をメガネ拭きで磨く
③のメガネ拭きは綿100%の柔らかい布でも代用いただけます。使い古しのTシャツでも構いませんよ!
上記のメンテナンス方法を先程登場した傷だらけのシェルコードバンにやってみました。
コードバンのメンテナンスについても個別の記事でまとめています。
8ヶ月間使い続けた傷だらけのお財布が見違えるほどきれいになっているので、気になる方は以下をご覧ください。
8ヶ月使用したコードバンのお財布をお手入れする【傷を目立たなくする消し方講座】
最後に
今回はシェルコードバンの特徴総まとめPart2と題してシェルコードバンの基本的な情報をまるっとご紹介しました。
シェルコードバンの知識は深まったでしょうか?
シェルコードバンは型崩れもしにくく、一度使い始めれば長く楽しくことができる素晴らしい素材です。エイジングも大変豊かで所有する楽しさがあります。
唯一無二の特徴をもった世界最高峰のシェルコードバンについてより知っていただいて持ち物への愛着を深めていただければ幸いです。
本日は以上です。それでは、また~
シェルコードバンを用いたアイテム
Shell Cordovan Shoehorn key (FS-706) ¥9,900(税込)
Shell Cordovan Pencil case (FS-712) ¥29,700(税込)
Shell Cordovan Round Coin (FS-711) ¥33,000(税込)
Shell Cordovan Short Wallet (FS-702) ¥41,800(税込)
Shell Cordovan Long Wallet (FS-701) ¥55,000(税込)