梅雨入り前のカビ対策完全ガイド

ゴールデンウィークも明け、あじさいも膨らみを増してきました。

「そろそろ梅雨入りか」と感じると同時に、レザー好きにとっては“カビシーズン”の恐怖に慄く時期でもあります。

雨が滴る様子

私もレザーバッグをカビさせてしまったことがあり、白カビを見たあの悲しみは形容しきれません。皆さまには同じ思いをしてほしくない!

そこで、今回はカビ対策完全ガイドと題して、梅雨入り前の準備、万が一レザーが濡れてしまったときの応急処置まで、まるっと解説します。

どうぞ最後までお付き合いください!

 


カビが発生する理由

まずはカビが発生しやすい状況について整理しておきましょう。

カビが喜ぶ条件は温度・湿度・栄養がカビにとって最適な状態になることです。とくに「湿度60%以上・気温20〜30 ℃・空気の滞留」が重なると一気に繁殖します。

高温多湿

加えて、革はタンパク質と油脂の宝庫――つまりカビにとって豪華なビュッフェも同然です。

梅雨×レザーはカビにとって「映画館でポップコーンが食べ放題」レベルの好条件。さらにバッグを保管するクローゼットは扉が閉まっていることが多く、空気の滞留も組み合わさります。カビにとってまさに楽園そのものなのです。

カビ繁殖のポイント

  • 湿気が最大の敵:湿度60%が“危険ライン”。70%以上で急増。
  • 汚れは栄養源:皮脂やホコリ、過剰なクリーム残りが餌になる。
  • 空気の滞留:密閉空間は胞子がこもり、増殖を加速させる。

 


梅雨入り前の対策

カビが発生しやすい状況が分かったところで、ここからは対策についてご紹介します。

 

汚れリセット&薄塗り保革

先もご紹介した通り、汚れはカビの栄養源です。プレケアをすることで、カビの発生を抑えていきましょう。

1.馬毛ブラシでホコリをサッと払う。
2.レザー専用クリーナーで軽い汚れと余分な油脂をオフ。
3.クリームは薄く塗り広げる。――つけ過ぎはカビのごはん!

 

防カビ+撥水スプレーで二段構え

通常のケアに加えて、防カビ専用のアイテムを使用するのもオススメです。

市販品でもレザー用防カビミストがあるので、ぜひ調べてみてください。防カビミストを十分に乾かしてから撥水スプレーを重ねると、雨シミも同時にブロックできます(製品により推奨順が異なる場合があるため、必ず取扱説明書をご確認ください)。

 

素材選定にも気を配る

レザーの中でもタンニン鞣し革やコードバンは水染みやブク(水滴跡の膨れ)が発生しやすい素材とされています。濡れて見た目を大きく損ねるリスクがあるため、使用すること自体を控えることも重要です。

雨の日は撥水加工のレザーやナイロンのバッグを使うなど、素材自体を悪天候に耐えるものにしましょう。

バッグの正しい保管方法については過去の記事で詳細に解説しています。気になる方は【バッグメーカーのスタッフが教える「正しいレザーバッグ保管方法」】もご一読ください。

 

換気や除湿剤の活用

高湿度や空気の滞留もカビにとっての好環境でしたね。

クローゼット換気

週1回はクローゼットの扉を30分開放して換気しましょう。美観を気にされないのであれば、梅雨の時期はクローゼットを開けっ放しにするのもオススメです。また、扇風機やサーキュレーターを用いて、部屋だけでなくクローゼット内も空気を循環させましょう。

換気しても高湿度になってしまう場合は、除湿機や除湿剤の活用もご検討ください。除湿剤は物によっては革に触れると、革を傷める恐れがあります。直接レザーに触れない方が無難でしょう。

 


もしレザーが濡れてしまったら

梅雨前の事前対策は以上です。他方で、急な雨に降られてしまうこともありますよね。もしレザーが濡れてしまったときの対応についてもチェックしていきましょう。

 

タオルで濡れたレザーの水分を正しく吸い取る

まずは乾いた布で優しく水分を拭き取ります。ゴシゴシ擦ると色落ちや傷の原因になるため、トントンと優しく叩くようにしましょう。

 

形を整えて陰干し

風通しのいい室内で自然乾燥させます。このとき、雑多に寝かせておくのはNG。必ず形を整えましょう。レザーは形状を記憶する性質があり、一度形が崩れると、元通りにするのは困難です。必ず詰め物をするなど形を整えてから陰干ししてください。

また、ドライヤーや直射日光は縮み・ひび割れのもととなります。焦らずじっくりと乾かしましょう。

 

乾いたらクリーム

乾燥後はお手持ちの革用クリームで保湿ケアを行うと、革のしなやかさを保つことができます。多少の雨シミであれば、クリームケアだけでも馴染んできます。クリームケアでも直らない雨シミやブクについては専門の業者へ依頼しましょう。

 

 


カビが発生したら

ここまで梅雨前の事前対策、濡れたときの対応とチェックしてきました。しかし、日本の高温多湿は我々の想定をいつも上回ってきます。これだけ対策してもカビるときはカビるんですよね。

そこで、カビが発生した後の対応もご紹介します。

 

白カビなら自宅で対応、黒カビはプロに任せる

カビの中でも種類が色々ありますが、白カビであれば自宅対応が可能です。

例えば、コロニルから発売されているライニガーというクレンジングスプレーであれば白カビにも対応しています。ライニガーで脱脂後、しっかり乾燥→保革クリームで油分補給という段階を踏むことで白カビを除去することができます。

 

一方で、深く根を張った黒カビは自宅ケアで取り除くのは困難です。無理せず専門クリーニングに任せましょう。

 


コラム:エアコン&結露もカビの温床

「梅雨は窓を閉め切るからエアコンで除湿してるよ」という方も要注意です。

エアコン内部は冷却で結露が発生しやすく、フィンやフィルターにホコリがたまるとカビが大繁殖します。そして繁殖したカビが送風とともに胞子を部屋中にまき散らしてしまうのです。

対策としては、エアコン内部にカビを発生させないことが大切になります。

冷房/除湿運転後は「1時間の送風モード」でエアコン内部を乾燥させましょう。また、エアコンをハードに使用する前にはフィルターを水洗いするのもオススメです。また、2~3年エアコンを使用したら業者による本格的な清掃をすると良いでしょう。

ちょっとしたひと手間で、レザーだけでなくお部屋全体のカビリスクもグッと下がります。(参照:三菱電機の「くらトク」|生活のお困りごとを解決するポータルサイト)

 


まとめ

梅雨はレザーにとって過酷な季節。カビの原因となる湿気・汚れ・空気の滞留を避けるためには、日頃のケアと保管環境の見直しが重要です。

カビの発生原因を知りつつ事前対策、事後対策の要点を押さえることでカビの心配はグッと減らせます。

 

  •  週1回のクローゼット換気

  • シーズン前にクリーナー+薄塗りクリーム

  •  防カビ剤→撥水スプレーの順で施工

 

本日ご紹介した様々な対策を実施して、大切な相棒レザーを梅雨明けも艶やかに保てることを願っています。1つだけでも試してみてくださいね。

 

本日は以上です。

では、また!